メインブログの日記帳の方にも書いたのだけど、改めてこちらでもまとめておきます。

 ガッチャマンIIでは、ドクターラッフェルが総裁Xに地球のことを教えたのが、総裁Xが地球に来るきっかけになったということが明かされます。

 ガッチャマンIIのDVD-BOXのブックレットに書かれた解説には、「遡ること数年前、地球外生命体とのコンタクトを図るため、宇宙へ交信していたDr.ラッフェル。彼の呼び掛けを受信し、地球という惑星の存在を知ったXは、何らかの目的のために地球を利用しようとやってくる。」とあります。しかし、初代の戦いが終わって3年経った後、IIの戦いが始まっている(これは、企画書に明記されている)ことを考えると、数年前では時間が合わないんですよ。

 初代、II、Fが、作品世界で同じ時間軸の出来事だと考えて、検討してみましょう。

 ドクターラッフェルの設定年齢は45歳です(DVD-BOXの解説より)。IIの戦いが大体1年、初代とIIの間が3年とすると、初代の戦いが終わった時点でラッフェル博士は41歳。
 初代の戦いが開始した時、ラッフェル博士は39歳、南部博士は設定通りその時点で48歳と考えるべきでしょう。
 南部博士がレッドインパルスに頼んでホントワールに潜入してもらったのが、初代の戦いの時を基準にして14年前です。その時ラッフェルは25歳、南部博士は34歳。この時既に、南部博士が、どうもホントワールが怪しいからレッドインパルスに行って調べてもらわねば、と考える程度にギャラクターの組織が出来上がっていたのだから、総裁Xが地球に来たのはもっと前でしょう。
 映画版では、総裁Xが地球に来たのが30数年前とされています。一応これを公式設定であると考えて、一番最近である30年前にやってきたとすると、総裁Xが地球に来た時ドクターラッフェルは何と9歳の少年で、これが一番ドクターラッフェルが年長となるパターンです。ドクターどころかまだ小学生です>ラッフェル君。

 全ての元凶がラッフェル博士だといっても、これでは、小学生がコンタクトをとって異星人呼び寄せちゃったって話になっちゃいますから、責任を問える状態ではなさそうです。まあ、小学生でありながら総裁Xとコンタクトをとる時点で、一種の天才なんだろうし、末恐ろしいとも言えますが。科学者としてはある意味南部博士より強烈ですね。スタートが早いだけに。早熟の天才の度合いでは南部博士を余裕で上回りそうです。実際、サイボーグの開発や扱いでは南部博士の方が負けてましたし。

 ゲッターロボでは、設定年齢42歳の早乙女博士がゲッター線を発見したのが30年前だ、というのがありまして、「中学生の発見かよ!それ何て夏休みの自由研究?」とツッコミを入れてたのですが、ドクターラッフェルはもっと凄かった。

 小学生のくせにコンタクトをとって後のことを何も考えずに総裁Xを呼んじゃったラッフェル君のおかげで、南部博士は、親友(鷲尾健太郎氏)の家庭を破壊することになるは、途中で親友は失うは、手塩にかけて育てたジョーは一旦死んじゃうは、かと思うとジョーは当のラッフェル博士の手で勝手にサイボーグ&最終決戦兵器にされてるは……。南部博士自身も、研究を邪魔されるだけでは済まず、何度も命を狙われて、職場のISO本部は3度に渡って本部ビルが倒壊。総裁Xを倒しても、残り物のパーツである総裁Zがしつこく攻撃してきて、南部博士(ISO長官)も最後は射殺されてしまいます。

 ドクターラッフェル(しかも当時は推定小学生)のしたことが原因で、ここまで延々と酷い目に遭いまくる南部博士の人生や立場って一体……。忍者隊の諸君なんか、ラッフェル君がとんでもないことをしでかした当時、まだ生まれてもいません。というかあんたら一体どんな因縁背負ってんだよ!踏んだり蹴ったりってレベルじゃないでしょう、これは。

 こう考えるとガッチャマン三部作って、身も蓋もないすさまじいオチが用意されていたということのようです……。たかが小学生が(たぶん)出来心でやったコンタクトのせいで、人類大被害、地球は壊滅しかかるって話なのですから。まあ、SF(すごいフカシ話)としてはこれでオッケーなのかもしれません(爆)。初代の悲劇的なジョーの最期、IIのサイボーグの悲哀にパンドラ博士の悲劇、Fの健の細胞破壊……どシリアスに戦ってるのに裏側にこんなすさまじいオチがあるとは……まったくあなどれません。さすがはタツノコプロです。