ガッチャマンの初代の前半はまだ子供らしい感じだった諸君が、後半になるといろいろ背負い込んだ描写がなされるようになって、それにつれてドラマも重くなったという話は、いろんなムック本に出ています。
諸君達の設定年齢は10代ですから、経験によって変わるというのは、自然な描写です。しかし、いろんな目に遭って経験値(何の?)を上げたのは諸君達だけではなかったようです。南部博士も変わってきているようなんですよ。
初代63話「皆殺しのメカ魔球」では、ゴラクエン球場の地下に国全体を吹き飛ばす巨大水爆が設置され、起爆装置が球場のどこかに置かれます。警察とガッチャマンが総出で起爆装置を探し、時間との戦いになります。
南部博士も、まだこの頃はウブだった(違)ので、捜索を依頼に行った警察署で報告を待つ間、こんな状態です。
場所はゴラクエン球場近くの警察署と思われます。
ソファに座り込んで頭を抱えています。冷静な南部博士にしては珍しい姿です。
まあ、ある意味普通の反応ではあります。
お約束通り、起爆装置はなかなか見つからない。その間、南部博士は通信機片手に冷や汗流しまくり。
「急ぐんだ!」と叫びながら必死の表情。
もう汗ぐっしょりです。
間一髪で健が爆発を防ぎ、起爆装置を発見、報告を受けた後、警察署の建物からブラインド越しにゴラクエン球場を眺めている南部博士。
「ありがとう、みんなよくやってくれた」、と呟いていますが、冷や汗はまだおさまらず、緊張の連続で何だかお疲れのご様子。
この後、南部博士は、攻撃で崩壊する三日月基地に閉じ込められて危ういところを諸君に助けられたり、カッツェに攫われたり、地球壊滅のカウントダウンを待つ羽目になったりします。
IIでも、Gタウンごと2回も海の藻屑になりかかったり、大津波で水没するISO本部に閉じ込められ、脱出の直後に目の前で本部ビルが水没し倒壊するのを見てしまったりします。全地球規模での被害も半端ではありませんでした。
Fでは、長官就任の挨拶の最中にエゴボスラーに宣戦布告され、ニュージョーク市が毒ガス攻撃された時はISO本部ビルの長官室でガスに耐えてました。
こんな目に遭いまくると、さすがに南部博士だって、諸君達とは違う意味で変わらざるを得なかったようです。
F22話。軌道をはずれた人工衛星がニュージョーク市のISO本部ビルの上空を通過、高性能核ミサイルを発射の予定、迎撃までにもう時間が無いという状況になります。
ISO本部が狙われているという第一報を受けた南部博士。
「何、あと十数分で国際科学技術庁が襲われる?」
と言いつつも、あんまり焦った風もありません。
「高性能核ミサイルか……」
と考え込んでます。冷や汗かきまくりの初代の時の反応とは、だいぶ違います。
健が迎撃を提案したのでそれを了承し、鴨技師長に協力を頼みます。
ISO長官が浮き足立っても仕方がないし、もはや逃げる時間も避難命令を出す時間も無かったことは確かですが、初代63話で警察署で頭を抱えて座り込んでいたのとは、随分様子が違います。
この後、迎撃成功の連絡が、鴨技師長から伝えられます。
ディスプレイを見つめたあと振り返ろうとします。あくまでも冷静で、鋭い目が素敵です。疲れた様子は微塵もありません。
最期に呟くのは、「ありがとう、ガッチャマン」の一言です。
自分も周囲の市民も吹き飛ばされる状況での核兵器への対処の後ですが、割と平然としています。汗びっしょりになっていた63話とはえらい違いです。
南部博士、実は随分図太くなってませんか初代に比べて。まあ、ある程度は腹括ってないと、ISO長官なんか務まらないでしょうけれども。