80話「よみがえれ!ブーメラン」
アッシャム国を調査に行き、健だけが、車を運転したまま鉄獣の攻撃を受け、車が炎上した後、捕らえられてしまいます。回収できたのは、すすで汚れたブーメランだけ。
甚平は泣いてるし、他の3人は、すぐには信じられず実感も湧かない様子。
南部博士はこの通りです。
そこへ、カッツェからの通信が入り、車ごと、鉄球やらドリルやらで健を殺す映像が流されます。
このあとの南部博士、こんな様子でした。
まだ、カッツェからの健処刑映像が続いているのに、画面から目を背け、背を向けてしまうんです。
指揮官なら部下の最期は見届けろ、と思うのが普通ですが、親子のような関係で過ごした時間がそれなりに長かったせいか、非情な指揮官にはなりきれなかったんだなぁ、ということがわかるシーンでした。
健死亡確定、と思った後の南部博士が痛々しいです。
諸君なら、お互い抱き合って「健〜〜」と泣くこともできるでしょうが、南部博士は指揮官という立場である上、V2計画阻止の時は健の親父を犠牲にし、今また健まで戦死させたとあっては、諸君と一緒に泣くこともできません。
なので、一人で、三日月基地の窓に向かってしょんぼりするしかありません。実はこの部屋の手前側に4人が居るはずです。窓の外の魚はいつも通り元気です。
レッドインパルスよ。私は何と言って君に詫びればいいのだ。
と、鷲尾健太郎氏の面影を思い出してめげる南部博士。
考えてみたら、こういう時に南部博士の愚痴の聞き役とか、慰め役になれる人って、回りに誰もいないんですよね。ISO公認(?)の目玉プロジェクトであるマントル計画でコケたんなら、アンダーソン長官あたりが愚痴聞いてくれそうですが、極秘プロジェクトの戦闘指揮官から「手塩にかけて育てた部下が戦死しました」て愚痴られても何ともし難いわけで。また、攻撃があったらアンダーソン長官は南部博士に向かって忍者隊を出動させろと命令しなければならない立場ですから、やっぱり南部博士が何か言える関係ではなさそうです。
ところがこんな状況でも仕事は待っててくれません。「鉄獣が暴れ回って大被害なのでどーにかしてくれ」の電話が……。
めげてるヒマなぞありゃしないのですが、悲しんでる諸君に命令を出さなければならないのは南部博士です。そんなわけでやっぱりしょぼーん。
健処刑映像を流されてから、諸君も博士も部屋を移動していません。全体の位置はこんな感じでした。抱き合って泣いてるジュンと甚平の奥に見えるのが、南部博士が立ってた窓です。ジョーと竜も手前側に居ます。机一つ隔てて、向こう側とこちら側の立場の違いが際立っています。それが、余計に、孤独に耐えなければならない南部博士の姿を強調する演出になっています。
受話器を置いてから、諸君の方に向き直るのですが、その間、目を瞬かせていました。絵では描かれてませんでしたが、涙が滲んでるのを誤魔化しているような感じでした。
なんと切り出そうか一瞬躊躇った後、出撃命令を出す間も目を閉じています。目を開けたら涙が出そうだという感じです。
気持ちはわかる。しかし諸君達は科学忍者隊なんだ。命令に背くわけにはいかん
という台詞からわかるように、今回の出撃命令は博士が先に決めたものでは無かったようです。南部博士にこう言わせることができ、忍者隊の出動命令をかけられるとしたら、アンダーソン長官しか居ません。長官直々の出動依頼だったのでしょう。
科学力の差など理由で出撃したら全滅必至の場合であれば長官命令でも拒否する南部博士ですが、今回は、健を欠いた状態でも出動を拒否していません。錯乱光線の情報は甚平が持って帰ってきているし、4人でも何とかなるという判断はしていたのでしょう。
被害状況の報告だけが来たとしても、南部博士のことですから、結局は、出動命令を出したのでしょうけど。
こうやって目を閉じててもイケメンで、しかも痛々しい様子の南部博士に萌えました……。
ジョーが、「来るんだ、出動じゃない、健の仇をうちにいくんだよ」と、全員を鼓舞して出て行ったので、南部博士も少しは気持ちが楽になったかもしれません。すぱっと仇討ちに気持ちを切り替えることができたのは、やはり、両親を殺されたジョーの恨みがそれなりに深かったからでしょう。泣いたってギャラクターの危機が去るわけじゃない上に、落ち込んでるままの4人を戦いに行かせたのでは、逆に危険です。仇討ちということで気合いを入れて出て行ったのなら、勝って戻ってくる可能性はそれなりに高まります。
結局、健はうまく逃げていて無事でした。ほっとして喜ぶ南部博士の姿が目に浮かびますが、やっぱり指揮官なのではしゃぐわけにはいかず、基地の窓向いて微笑んでたりしそうです。