初代82話「三日月サンゴ礁を狙え!」。
ギャラクター側の基地狙いが本格的になるにつれて、基地内の描写も増えてきています。
ゴッドフェニックスが後をつけられて基地を発見されてしまいます。誤魔化そうにも間に合わない距離。
大至急移動だ。潜行しろ。ギャラクターが攻めてくる。
南部博士が言いながらやってきたのがこの部屋。基地の移動用のロケットエンジンの制御室らしい。多分この回が初登場です。スタッフが詰めていることがわかります。
この回の描写と、92話で登場する大勢の技師達と、84話の会話を合わせるとまたいろいろ議論できそうなのですが、それはまた後日。
三日月基地を移動させるために、基地下部のロケット噴射のレバーを操作する南部博士↓。
潜行しろ、と言うわりには、ロケット噴射を下に向けて吹いているのはいかがなものかと思うのですが、それはさておき。
これ見て思わず「手動でやってるのか?」って仰け反りました。
92話の崩壊シーンを見た限り、基地上部の三日月珊瑚礁ってかなり重量がありそうで、しかも水より重いです。擬装珊瑚礁がメガフロート構造ならば、一部分が破損しただけで一気に全体が水に沈むといったことは無いはずです。しかし、92話の描写では、ほとんど原型を保ったまま海中に沈んで、基地本体とぶつかっていますから、どうも自力で受ける構造ではないらしい。基地本体は、内部に空気を含んでいますから、浸水しなければ材料次第では浮いていられるかもしれません。ということで、そもそも、三日月基地の力学的に安定な姿勢とは、珊瑚礁の方を下にした姿勢ではないかと思われます。従って、珊瑚礁部分を上に出して、同じ場所に止めておくためには、常に制御している必要があります。基地本体の浮力で珊瑚礁部分を浮かせるのはおそらく無理でしょうし、バランスを崩したら上下逆になって、元に戻すのが至難の業になりそうです。こういう発散の強い系というのは、飛んでる航空機と同じで、推力を失わない限り制御が可能って世界になります。また、揺れがある程度大きくなったら、手動のみで安定させることは難しいでしょう。仮に、上の珊瑚礁が水よりかなり軽い(が、構造上何カ所か浸水すると沈んでしまうものだった)としても、制御をサボって浮かせっぱなしにすると、海の真ん中に浮いてる船と変わりませんから、波に揺さぶられることになり、職員の何人かはほぼ確実に「船酔い」する羽目になります。いずれにしても、地上とほとんど変わらない状態を維持するには、コンピューターでも使ってこまめに姿勢制御するしかないのが三日月基地です。
ですから、南部博士が動かしている噴射レバーが、エンジン直結のような描写をされていたことに驚いたんですよ。それじゃ不安定になりますってば(汗)。
このあと、焦りまくる南部博士という珍しいものを見ることができます。
博士、第一機関室に浸水です。このままでは潰されてしまいます!
と、担当技師から報告が。
その直後、モニターの向こうが水没。技師さんも流されたっぽい。
おい!
って叫んでますが、声、裏返ってますよ、博士……。
その後も手動制御っぽいシーンが。
こっちのエンジンと同時にスタートしろ!
指示を出しておいて
今だ!
掛け声と同時にエンジンのレバーを力一杯押し下げる南部博士。
掛け声と手動でタイミングを合わせてこんなデカブツの制御をするってかなり無茶です(汗)。
おまけに、この直後にエンジン1つ魚雷で完全破壊されてますから、手動でやってたんじゃ推力バランスが狂って姿勢を崩しますよ、まったく……。
また、上にくそ重い珊瑚礁を乗せた状態で、下から噴射したら、慣性というものがありますから、アームの部分に力がかかって上下方向に潰れそうです。
こういうことを解決するには、戦闘機の制御と同じにするしかないです。つまり、行きたい方向と速度を指示し、それに応じて4基のメインエンジンと他のエンジンやらスタビライザーやらの状態を全部計算で決め、ほぼリアルタイムで制御して、指示通りの動きを実現する方式でないとダメです。もちろん、加速が急過ぎて本体が破壊しないように、リミッターも必須です。人間が移動の速度や加速度を感じ取ってフィードバックしていたのではとても間に合いません。
まあ、南部博士だってそのへんは充分わかってて、敢えて人間が動かしてる感を残す実装にしたのかもしれませんが。
今回は無事助かり、再浮上することができました。前の方に居る人達は、ユニフォームでも白衣でもない、スーツ族ですから、ISOの幹部級の人達が様子を見に来たってところでしょうか。左側はひょっとしてアンダーソン長官?
最悪の場合も覚悟しつつ、この先どうやって基地を守るのか、考え込んでいるご様子。触角頭もそれなりに跳ねてるので、気合い入れて先のことを熟考中のようです。
ここで一度いろいろ考えていたから、基地の最後に際して、判断も決断も早かったのかもしれません。