※この記事は日記帳に書いていたものの再掲です。読みやすくするためこちらにまとめておきます。だいぶ加筆修正しています。
ガッチャマンII37話。甚平が、探知機をラッキー山脈のISO秘密研究所に運ぶ任務の途中で、ピューマの子供を助けたために研究所が壊滅します。小動物などを助けて任務失敗で被害拡大、ってパターンは何回かあって、甚平がやってくれることになっています。捨て猫や捨て犬を家に持って帰った経験のある子供は多いと思うので、多分、そちらからの感情移入を狙った演出かもしれません。
南部博士が部屋に入ってくるシーンもチェックポイントです。
まず、部屋内部のパネルの赤ランプが点滅します。
その後、諸君が居る部屋に南部博士が入ってきます。文字が省略されていますが、ドア上に半分くらい見えているグレーの板が、ランプ付きの表示板と思われます。また、背後に見える廊下のデザインがよくわかります。
南部「諸君。緊急事態だ。地震で破壊されたISO研究所で、サリンガスが漏れる恐れのあることが判明した」
健「サリンガス?」
南部「うむ。神経性の有毒ガスだ。万が一にも備えなければならないが、サリンの中和剤になるオキシム型の解毒剤の製造が間に合わんのだ。その上、研究所の被害の程度もよくわからん。直ちに、調査にあたってもらいたい」ナレーション「国際科学技術庁のラッキー秘密研究所。ここに貯蔵してあった薬品類が、化学反応を起こして有毒ガスサリンが発生しようとしていた」
サリンが日本でポピュラーになったのってオウム事件以後だが、この回の放映は1979年6月10日。これ以前に知られていたとしたら、ナチスが第二次大戦中に量産していたということからでしょう。
Wikipediaによると、
1960年代にロッキーマウンテン兵器工場で大量のサリンを生産している。このサリンは一度も使用されることが無いままロッキーマウンテン兵器工場の倉庫に保管されていた。そして、1970年代になると全て廃棄処分された。
とあります。ガッチャマンでは実在する地名を微妙にもじった名前を使う傾向がありますので、むしろこちらを元ネタにして作られた話かもしれません。
ところで、上で引用したシーンで何事もなく南部博士が登場していますが、アニメで見せてないところで実はものすごいことになってたんじゃないかと思います。33話の最後の方で、ISOの偉いさん達が会議してるシーンがあって、メンバーが、ギャラクターの地震攻撃を食い止められない忍者隊は何をしているんだと南部博士に詰め寄るシーンがあります。ちゃんと仕事をしていてもその扱いなのだから、任務途中放棄で研究所一つ壊滅の上有毒ガス発生でさらに被害拡大なら、南部博士がどう吊し上げられるか推して知るべしで、指令を出しに部屋に戻ってくる前の会議場での説明が大変だっただろうという……。「会議ばっかりやってて現場には来ないくせに現場の仕事ぶりを責める大勢の偉いさん達」vs.「実働部隊の指揮官であることが権力の拠り所になっている南部博士」の構図になってて、しかも指揮官としては実働部隊の士気を下げるようなことはできない、という状況が見えてるわけです。
そういうのが積み重なって、Fあたりで「もう面倒なので自分で長官やります」って展開になり、さらに面倒を背負い込んだ感がなきにしもあらず……。
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