21話「総裁Xは誰れだ」。
馬のコンテストで優勝したのが、ヘンジンマン博士の馬だったという回。
南部博士、
いや実は、あのヘンジンマンという人物は私の学校時代の先輩なのだ。頭は良くて研究熱心な男だったが、とにかく人間嫌いで、卒業以来全然会ったことがない。何でも、世間を離れて一人サイボーグの研究をしているとかきいている。
と、こんな顔↓で言ってます。
いや、君たちが信じられないのも、無理はないが、あの馬は実に精巧に作られたサイボーグの馬だったんだ。テレビのビデオテープを見れば、納得するよ。さあ良く見てごらん。本物の馬は汗をかいているのに、この馬はけろっとしている。目を見てもまばたきがない。それに、この蹴り足を見たまえ。本物だったらこんな蹴り方はしない。これで、サイボーグだということがはっきりしただろう。
と続けてます。
南部博士は、オックスフォードとケンブリッジ大学を出てるわけですが、どちらかで先輩だったとしても、年齢差がありすぎるように見えます。南部博士の年齢48歳ですが、ヘンジンマン博士は70歳くらいに見えます。先輩後輩でも、学生生活の期間が重なっていたとはとても思えません。学部生と博士課程の大学院生でも10年離れることはないでしょうし。南部博士が学生のときに教員をしていたのならこの年齢差もわかりますが、そうなると、人嫌いで卒業後は会ったことがない、という南部博士の台詞と矛盾します。この場合とっととどこかにひきこもったのはヘンジンマン博士の方ですから。
南部博士は、
しかし、今から騒いだって大混乱が起こるだけだし、ヘンジンマン博士も、実際に、本物の馬と比べてみたかっただけだと思う。ただ心配なのは、この技術を誰かが悪に利用しようとしたら、それこそ大変なことになってしまうだろう。
うむ。諸君に、ヘンジンマン博士の身辺の護衛を頼みたい。
と言ってます。
ヘンジンマン博士はとりあえず賞金ゲットで祝杯を上げていますが、これは、こっそりサイボーグ馬を出して優勝しちゃったものだから、賞金を断ったら逆に不自然で詮索されかねなかったからでしょう。俗物なら、この馬をあちこちのレースに出して賞金を稼ごうと考えるでしょうが、ヘンジンマン博士は、
とうとうわしの作ったサイボーグの馬が本物に勝ったんじゃ。生き物全てをサイボーグにしてやる。そしてこのわしがサイボーグ王国の王となるんだ。何とすばらしいではないか。
と、現実の金儲けには全く興味を示していません。サイボーグの性能にしか興味がなく、サイボーグに囲まれて過ごしたいと考えるあたり、立派なマッドサイエンティストです。「本物の馬と比べてみたかっただけ」と判断した南部博士の人を見る目は確かでした。
南部博士が優秀というだけあって、ヘンジンマン博士、総裁Xの正体を、見た瞬間にほとんど見破っていました。この点でも、南部博士の評価は正確でした。