【関連コメント】
【シナリオデータ】
忍び寄る悪魔の手 制作No.10
企画・制作 竜の子プロダクション
原作 竜の子プロ企画室
脚本 中原 朗
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ホテル・一室
睨むように立つケンペラー。
ISOのビルが眺望できる。
N「ガッチャマンにアグリカ侵攻作戦のデータを奪われたエゴボスラー伯爵は部下たちに命じ、ガッチャマン基地を探索し、データを奪い返そうとその機械を虎視たんたんと狙っていた」
鳴る電話。
受話器をとり、直立不動のケンペラー。
ケンペラー「はっ! これは伯爵」 -
エゴボスラーの宮殿・司令室
エゴボスラー、コニャックを口に含みながら受話器に。
エゴボスラー「ケンペラー、手こずっているようだが」 -
電話口のケンペラー
ケンペラー「はッ、それがISOの守りは殊の外固く‥‥情報収集が‥‥その」
眼下にISOビル正面、警護の兵士たちが固めている。 -
司令室のエゴボスラー
エゴボスラー「いまだに捗っていない、というのだな」
ケンペラーの声「は」
エゴボスラー「お前の元に一匹鼠を送り届けよう、やくに立つ鼠をな」 -
牢屋
うずくまっている紳士然とした老人(ヴィッテンドルフ)。
錠が開けられ、
兵士「出ろ、ヴィッテンドルフ」
ヴィッテンドルフ、引き出される。
N「ヴィッテンドルフと呼ばれるこの男、誰れもその素姓を知る者はない。だが、巧妙に仕組まれた政治家の暗殺。原因不明の爆発事故 —— 数々の怪事件を辿っていくと必らずと言っていい程この男が浮かび上がるという。
名前を聞くだけで暗黒街の殺し屋さえ蒼ざめるという謀略の専門家である」
ヴィッテンドルフ「な、エゴボスラーさん。やっぱり私を生かしておいてよかったろうが。さて、仕事の内容を聞こうか」
エゴボスラー「(兵士に)奴の手を自由にしてやれ」
兵士「はッ」
と、カギをとり出すが、
ヴィッテンドルフ「いいよ。自分のことは、自分でやるさ」
手をしめつけていた鉄の輪、いつのまに細工したか、簡単に外れていく。
呆然と見る兵士。
エゴボスラー「(頷き)この鼠なら、科学忍者隊の腹を喰いちぎれそうだ‥‥フッフッフ‥‥‥‥」 -
フイヨルド
霧に蔽われ、微かに姿をみせている建造物の影——(ガッチャマン基地だが)——が揺れている。 -
ガッチャマン基地・コンピューター室
気忙しく働く鴨と部下。データーを整理し、パンチカードに打ち込んでいる。疲労の色が濃い。
鴨「(吐息)」
甚平「(覗いて)あのオ‥‥」
鴨「(屹と)何んだい? 急用でなければ後にしてくれないか」
甚平「(首をすくめて)! はい‥‥」 -
同・射撃訓練室
射撃準備をする健、ジョー、竜。
採点台の前に立つジュン。
健「どうだ、データーの分析は巧くいっているのか」
ジュン「(首を振り)鴨技師長以下不眠不休が続いているワ」
ジョー「ジサマの腕をもってしても、奴らの膨大なデータから目的を割り出すのは至難の技か」
健ら、狙って撃つ。
が、命中しない。それぞれ、続いて連射する。
が、成績は決してよくない。
ジュン「どうしたの、皆ンな」
ジョー「どうも気になっていけねえ」
ジュン「データのこと?」
健「ああ」
隊員たちの頭上を越えるスワロートップ、標的の中央に穴を開ける。
ジュン「甚平!」
得意気に立つ甚平。
甚平「へへへ、データのことが気になるからといって射撃の腕を落すようじゃ、科学忍者隊の名前が泣くぜ」
健「たしかに甚平の言う通りだ。(ペコリと)反省しょう」
甚平「さあてと。健の兄貴。明日は何ンの日か?」
健「明日? さあて、何ンだったっけ?」
甚平「チェッ、いいよ」
と、ジョーと竜の傍に近づいて
甚平「な、判ってるだろ。あしたが何ンの日かって」
顔を見交わして、訝し気なジョーと竜。
甚平「(ガッカリして)あ〜あ、いいよ、いいよ」
と、ジュンの傍に寄って、
甚平「お姉ちゃんは忘れてなんかいないよな。何にしろ、一人ぼっちだった俺らを山ン中で拾ってくれて以来ずっと友達だからナ」
ジュン「さあ? 何ンの記念日だったかしらネ」
甚平「ああ、いやンなっちゃうな。誰れ一人臆えてくれていないなんて」
そのとき、スピーカーより、
鴨の声「南部長官から連絡が入っている」
! となる一同。 -
スクリーンに南部の顔。
鴨「! 本当ですか。長官に来て頂ければ、敵のデーターは一瞬に解読できます」
南部「鴨技師長。一瞬にというのは買いかぶりというものだ。こちらからはISOで調査分析した奴らの戦術データを持参しよう、では」
スクリーンから消える南部。
甚平「あ、南部長官‥‥」
鴨「どうしたんだ?」
甚平「明日が何ンの日か聞こうと思って」
竜「長官は急がしいんだ、甚平のクイズにつき合ってんかいられねえよ」
甚平「チクショオ! クイズなんかじゃねえや! 皆な冷てえ奴ばっかりなんだから」
と、一人不満顔。 -
森の中
湖越しにISO本部が見える。
ケンペラーの傍で兵士がレシーバーを使って電波聴取を試みている。
ケンペラー「どうだ、ISOの交信は把めたか」
兵士「それが。交信のサイクルが数秒毎に変化して傍受することは不可能です」
ヴィッテンドルフ「仲々やるじゃねえか、フフフ。ISOをなめちゃいけねえよ、な‥‥さてと」
と、立ち上り、ズタ袋一つ提げて歩き出す。
ヴィッテンドルフ「あんたの部屋を借りるぜ」
ケンペラー「よし、行こう」
ヴィッテンドルフ「(制して)私のやり口は誰にも見せない、そういう約束だ」
ケンペラー「よかろう。だが、失敗は許されんぞ」
ヴィッテンドルフ「ああ」
と、歩いていく。
ケンペラー「(兵士に目顔で合図)」
頷いてあとを尾ける兵士。 -
森の外れ
来る兵士、ふと立ち停る。
ヴィッテンドルフの姿がない。
ヌッと顔を出すヴィッテンドルフ、矢庭に兵士を刺し殺す。
ヴィッテンドルフ「(呟く)私の仕事にチョッカイを出すなといったろ‥‥」 -
市街 (夜)
ホテルの一室。
超望遠レンズを備えたVTRカメラで狙っているヴィッテンドルフ。
ヴィッテンドルフ、電動レバーを操作する。 -
ファインダーの中
に南部の様々の角度からの顔。 -
ホテルの一室
VTRを再生しているヴィッテンドルフ、様々の向きの南部の顔を停めてじっと観察している。
× × ×
ヴィッテンドルフ、ケースの中からウリ二つの眼鏡枠を選び出し、しげしげと見る。
ヴィッテンドルフ「フフフ‥‥‥」
× × ×
人形に眼鏡がかけられている。
それをスコープの付いた銃で狙いを定めているヴィッテンドルフ。
ヴィッテンドルフ、銃爪をひく。
カチッ!
自信有り気に頷くヴィッテンドルフ、弾丸の箱の中から特殊な針状の弾丸を取り出して込める。
撃つヴィッテンドルフ、ニヤリとする。
的の人形、眼鏡には遠目に何ンの変化もない。 -
ISO・長官室
係官「しかし、長官護衛もなしに、ガッチャマン基地の訪問は危険です。護衛部隊の編成まで暫くお待ち下さい」
南部「そうはいかん。作戦データの分析は急務だ」
係官「どうしても、今すぐに?」
南部「そうだ。頼むよ」
係官「判りました。最善の防備を尽します」 -
ホテル一室。
ファインダーから覗いていたヴィッテンドルフ、VTRテープを抜き取り、再生装置にはめこむ。
再生装置から特殊な読唇装置を経てタイプライターに繋がっている。
VTRテープの再生がコマ送りでなされ、それと共にタイプが子音母音の組み合わせを自動的に打っていく。
ヴィッテンドルフ「(読む)‥‥ガッ・チャ・マ・ン・キ・チ・ノ・ホオ・モン・ワ・キ・ケ・ン‥‥‥シ・バ・ラ・ク・オ・マ・チ‥‥‥ソ・ウ・ワ・イ・カ・ン‥‥‥」
! となるヴィッテンドルフ。
ヴィッテンドルフ「間もなく南部はガッチャマン基地に! よし」
ヴィッテンドルフ、ふと見上げると、ジエットヘリが姿をみせている。
ヴィッテンドルフ「あれか‥‥」 -
ISO本部・前 (早朝)
物陰で張っているヴィッテンドルフ。
来る南部と係官。
× × ×
ヴィッテンドルフ、スコープ銃を構える。
引かれる銃爪。
! となる南部、衝撃を感じて立ち停る。
係官「?」
南部、眼鏡に手を当てる。
一瞬、ヅーンと痛みが走る。
一瞬顔をゆがめ、眉根を寄せる南部、手を額に寄せる。
係官「長官! どうなさいました」
南部「いや、大丈夫。少し頭痛が」
様子を伺っているヴィッテンドルフ。
南部「もう平気だ、行こう」
と、ISO内部に入って行く。
ヴィッテンドルフ「よし‥‥」 -
森
戻って来るヴィッテンドルフ。
カッと睨むケンペラー。
ケンペラー「よくもぬけ/\と戻ってきたな」
ヴィッテンドルフ「‥‥何ンのことだ」
ケンペラー「俺の部下をなぜ殺した」
ヴィッテンドルフ「小汚ねえ真似をするからよ。体を張った仕事に水をさす奴はああなる。あんただって容赦はしねえ」
ケンペラー「!‥‥‥」
飛翔していくジエットヘリ。
ヴィッテンドルフ「あれで南部はガッチャマンの基地へ行くのよ」
ケンペラー「なに! (兵士に)後続部隊に連絡してヘリの追跡を命じろ!」
兵士「はい」
と、無電送信のスイッチを入れる。
ヴィッテンドルフ、スイッチを切る。
ケンペラー「な、何をする!」
ヴィッテンドルフ「余計なことは止して貰おうか。私の仕事は未だ終ってはいない。水をさすなといった筈だ」
ケンペラー「ガッチャマン基地がわかるというのに、みす/\放っておけるか」
ヴィッテンドルフ「お前達が追えば元も子もない。南部が秘密基地を教える程愚かだと思うのか」
ケンペラー「何ンだと! では貴様は基地のありかをつきとめたというのか」
ヴィッテンドルフ「その必要はない。やつらの根城はこの世から姿を消す。南部も科学忍者隊も今夜でお陀仏だよ、フフフ‥‥‥」
ケンペラー「本当に、そんなことができるのか、貴様はいながらにして‥‥‥」
ヴィッテンドルフ「フフフ‥‥‥それができるのよ。作戦データーは無論解明されることはない。伯爵さんも喜ぶさ」
ケンペラー「(呟く)フッ、こいつただの山師ではないのか?‥‥‥」 -
翔ぶジエットヘリ
レーダーを見る南部。
係官(操縦士)「御安心下さい。ついて来る飛行物体はありません」
南部「ヘリのチェックもOKだね」
係官「はい、チリ一つでも見落としてはおりません。特に今回は赤外線透視装置で機体を十二分にチェックしました」
× × ×
ISOヘリポート。
飛行直前のヘリが、格納庫内で赤外線を浴びている。
ゴーグルをつけて見ている係官。
× × ×
南部「ありがとう、安心して基地へ行けるよ」 -
フイヨルド
が近づいて来る。 -
ジェットヘリ
係官「長官。基地と交信できました」
南部、レシーバーを受けとり耳に当てる。
南部「こちら、南部です」
鴨の声「こちら、ガッチャマン基地。南部長官のキイワードをどうぞ」 -
ガッチャマン基地・司令室
厳しい目で応答する鴨。
南部の声「キイワードを送る‥‥招かれざる客は鏡の中に入れない‥‥もう一度繰り返す。招かざる客は鏡の中に入れない」
南部の声が音声として収録され、波長が光条となって記録される。
一斉に安全の指示ランプが点く。
鴨「まちがいない。南部長官だ」
見ていた隊員たちの表情が明るくなる。 -
フイヨルド
の霧の中からヘリ収納用の格納庫が浮び上る。
開放した格納庫に着陸するヘリ。
格納庫閉じて霧の中に没する。 -
ガッチャマン基地・格納庫
ヘリから降りて来る南部、そして係官。
南部「我が家に帰ってきた気分だ」
迎えに出た隊員たち。
健「ようこそ」
ジュン「ちがうわよ。お帰りなさい、っていうべきよ」
竜「そうそう、お帰りなさい、がいいや。じゃ、皆ンなで、せえの」
一同「お帰りなさい!」
南部、微笑む。
南部「ありがとう。(甚平に)さ、誕生日のプレゼント」
と、包を手渡す。
甚平「(驚いて)!」
他メンバー、? となって、
「誕生日?」
甚平「(嬉しい)そうさ。だから昨日皆ンなにあれだけ訊いたろ。なのに、誰一人思い出してくんないんだもン」
ジュン「ごめん」
甚平「いいってことよ。でもよく覚えてくれてたよな、長官」
健「さ、プレゼント、開けてみろ」
甚平「うん」
と、リボンを解き始める。
来た鴨、立ち停まる。
甚平、ボクシングのグラブをとり出して目を輝かす。
甚平「ワアーッ。凄え、ほんものの皮だぜ。ムリしたな、長官」
竜「こら甚平、ムリした、はないだろう」
甚平「(頭をかいて)じゃ、ムリをなさったでしょう。これでいいか」
笑う一同。
厳しい表情で踏み出す鴨。
鴨「長官、ルールを守って頂かなくては困ります」
一同、緊張した面持。
鴨「君たちも君たちだ。いくら親しいからといっても守るべきことは守らなくちゃいかん。(南部に)さ、X線エェックを」
頷く南部、従う。
動く歩道でX線チエックをうけている南部、係官。
鴨、プレゼントの箱、グラブを歩道の上にさらす。
チエックサインが安全を示している。
鴨「異常ありません」
と、チエックボタンを切る。
くってかかる甚平。
甚平「じさまヨオ、いくらなんでもうるさすぎやしねえか。長官がニセ者だとでもいうのかい?」
鴨「!」
甚平「そうだろうよ。余り固苦しいと久し振りに会ったいい気分がどっかいっちまうじゃねえか」
鴨「そりゃ判ってる。しかしな」
甚平「チエッ、判っちゃないよオ」
南部「甚平、鴨技師長の行為は正しいことだ。まちがっていたのはこの私の方だ。つい親しいことをいいことにX線チェックの義務を怠ってしまった。不愉快にさせたのなら、その原因は私にある」
甚平「‥‥そ、なの?‥‥‥」
南部「そうだとも。この基地は決してエゴボスラーの一味に探られてはならない。人類の平和がかかっているのだから、厳重すぎて悪いってことはない。判ったね」
甚平「うん。(グラブを手に鴨に)もういいね」
鴨「ああ、大事にするんだぞ」
甚平「もちろんさ」
南部、ふとこめかみを押える。
係官「長官、また頭痛ですか」
南部「う、うん。どうも変だ。少し休ませて貰うよ」 -
同・甚平の寝室
眠っている甚平、手にグラブをはめたままである。
甚平「(寝言)‥‥父ちゃん‥‥どこにいるんだい?‥‥‥父ちゃん‥‥‥南部長官は俺らの父ちゃん?‥‥だったら、いいのに、な‥‥‥」
甚平、グラブの手を抱きかかえ、静かな寝息。 -
南部の寝室
操り人形のようにムックリ起き上る南部。
南部、眼鏡をかける。キラッと光る不気味な目——南部、別人のようである。南部、立ち上って出て行く。 -
廊下
其処此処の室に忍び込む南部。 -
コンピューター室
懸命に立ち働く鴨以下、技師たち。
パンチカードを投入、データを集積する。
フル回転しているコンピューター。 -
森の中
野営しているケンペラーたち。 -
テントの中
ヴィッテンドルフ「さア、見るがよい!」
小さなガラス箱に数匹のリスがいる。
その一p気のこめかみに針状のものを突き立てるヴィッテンドルフ。
ヴィッテンドルフ「これを見れば、私の言ってることが嘘かどうか、お前さんにも判る」
ケンペラー「——」
ヴィッテンドルフ「このリスは間もなく脳神経に影響を受ける」
針を突かれたリス、次第に慄き始めて興奮状態にいる。
ケンペラー「!」
ヴィッテンドルフ「遂には自らとその環境を破壊して死んでいく」
針のリス、周囲のリスを喰み殺し、自らの頭を狂ったようにガラスにぶつける。ついに破けるガラスの壁。鋭いガラスの切り口にノドを叩きつけて絶命するリス。
ケンペラー「!!」
ヴィッテンドルフ「どうかね」
ケンペラー「バ、バカな、こんなことが!?」
ヴィッテンドルフ「私の予測では間もなくだ」
と、銀時計を見る。
ヴィッテンドルフ「南部がガッチャマン基地を破壊してくれる。フフフ‥‥‥」
ケンペラーの声「もし奴の言う通りだとすれば、こやつ‥‥只の鼠ではとどまらん‥‥‥‥‥」
ケンペラーのひきつった顔。 -
ガッチャマン基地・内
爆発して吹っ飛ぶ一室 —— 機械
× × ×
別の一室より出て来る南部、歩き出す。
と、その一室が爆発する。
× × ×
爆発音と振動づガバッとはね起きる健! ジョー!
× × ×
振動で揺れるコンピューター室。
鴨「!」
鴨、駆け出している。 -
廊下
隊員服姿となった健、ジョー、竜、ジュン、甚平が来る。
ジョー「一体何が!?」
健「判らん! とにかく爆発を喰いとめるんだ」
うなづく隊員たち、それぞれ別れて走る!
× × ×
消火作業に懸命の隊員たち。技師たち。 -
格納庫・入口
扉を開けて躍り込む鴨。
鴨「!」 -
同・内
南部が立っている。
鴨「大丈夫でしたか」
南部「ああ、ここは大丈夫だ」
鴨「Gメカに異常は?」
南部「ない。さあ、もう行ってくれ給え」
鴨「はい」
鴨、ふとG1号の影を見ると、導線、細かな器具——起爆装置だ。
鴨「! 長官!!」
南部、いきなり、スパナで鴨の後頭部を打つ。
うづくまる鴨。 -
格納庫
駆けつけた健、ジョー。
南部は起爆装置を手に立ち上がった 別人のように不気味な表情である。
鴨、ヨロ/\と立ち上がって、
鴨「長官は何者かに操られている。とり押えるんだ」
健、決意して、
健「長官、従って頂きます」
健、ジョー、両脇か掴えようとする。
南部とは思えぬ力で、健、ジョー、弾き飛ばされる。
南部「フフフ‥‥ガッチャマン基地は今日限り海のもくずとなる‥‥」
健「仕方がない、非常手段だ、長官!」
と、銃を向ける。
来る竜、ジュン、甚平、! となる。
甚平、駆け寄って、立ち塞がる。
甚平「何にするんだ!」
ジョー「(銃を向け)どけ、どくんだ!」
甚平「いやだ! いやだよ!」
健「甚平!」
甚平「長官は俺らの誕生日を忘れてくれずにいた人だ! 誰一人覚えていてくれなかったのに! 銃を向けるなんて!」
健「どけ! 甚平、このままじゃ基地は破壊してしまう!」
南部、ひきつったような笑いを浮べながら、起爆装置のスイッチに指をかける。
甚平、南部に駆け寄り、胸倉を叩く。
甚平「ウソだい! ウソだ! 長官が俺らたちの基地をブッ壊すなんて。そんなこと、ウソだい! 長官は優しい人だい! そうだろう! そうだと行ってくれヨ!」
甚平、胸倉を掴んで揺り動かす。
が、南部、怪力で甚平を突き飛ばす。
甚平「!‥‥‥長官‥‥!?」
南部、狂ったように銃で撃つ!
物陰に潜む隊員たち、辛うじて応戦する。
甚平の声「ウソだ、長官がこんなことする訳がない。きっとエゴボスラーの奴が何か細工をしているんだ」
弾着が南部の耳元で走る! 火花の灯りに浮かぶ眼鏡の蔓
蔓 の中に走っている針状の金属。
甚平「? ! そうだ、あれかもしれない‥‥よオシ、見てろ、俺らが‥‥エイッ!」
と、ばかりスワロートップを放る。
スワロートップ、眼鏡をはじき飛ばす。
蔓が裂け針状の金属が飛び出る。
南部、ヨロ/\と膝をつく。
甚平「長官! しっかり」
と、駆け寄り、肩を揺する。
南部、日常の顔に戻っていく。
南部「‥‥どうしたんだ、一体何が起ったんだ」
甚平、床に落ちた眼鏡をとり上げる。
甚平「これだよ、これが長官を操っていたんだ」
! と見る一同。
鴨「(蔓から針を引き抜き)‥‥恐ろしい、悪の科学だ‥‥」
呟くようにいい、しげ/\と眼鏡を見る。
甚平、南部に抱きつく。
甚平「もう、大丈夫だね! いつもの長官なんだね」
南部「ありがとう。敵のためとはいえもう少しで大変なことをする処だった」
だが、敵の恐るべき技術を目撃した畏怖が健たちの顔から消えないでいる。 -
森 (朝)
ケンペラーとヴィッテンドルフ
駆けて来る兵士。
兵士「南部もガッチャマンも生きています」
ケンペラー「!」
ヴィッテンドルフ「何ンだと! でたらめを抜かすな」
兵士「昨夜から本早朝にかけ、地球上のどこに於ても巨大な爆発は記録されていません」
ケンペラー「失敗だったようだな」
ヴィッテンドルフ「なぜ、一体なぜ!?」
ケンペラー、銃を抜く。
ヴィッテンドルフ「ま、待て。もう一度やらせてくれ。こ、これは何かのマチガイだ」
ケンペラー「失敗は許されん、と言った筈だ‥‥」
ケンペラーの銃がヴィッテンドルフの額を射抜く!
ヴィッテンドルフ「い、一体、何故だ? ! 」
ヴィッテンドルフ、うずくまって動かない。
ケンペラー「生かしておくには余りにも危険な奴‥‥」 -
ガッチャマン基地・コンピューター室
南部、鴨、そして健たち、作戦データの分析に余念がない。
コンピューターが動き、忙しく立ち働く隊員たち。
N「ヴィッテンドルフの畏るべき計画kは崩れ去った。だがエゴボスラー一味が手をこまねいている訳はない。アグリカ侵攻作戦とは一体何か? ガッチャマン、作戦データの分析はまだなのか! 急げ、科学忍者隊! 知恵と勇気を結集せよ!」
つづく
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