F-23 魔のメカランド ★

|2010/6/2(水曜日)-01:29| カテゴリー:
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【関連コメント】

【シナリオデータ】

魔のメカランド 制作No.27 放映No.4/6
企画・制作 竜の子プロダクション
原作 竜の子プロ企画室
脚本 中原 朗

  1. ギャラクター本部 司令室
      総裁Zの映像に向い、訴えかけるマーストラ。
    総裁Z「なに、エゴボスラーが目障りだと」
    マーストラ「はい。総裁Xに仕え、今また総裁Zに仕えるこの私に、あやつ、敬いの言葉一つかけませぬ。新参者とはいえ、目に余る振る舞い」
    声「敬うべきところがあってこそ、尊敬の思いも湧こうというもの」
      立っているエゴボスラー。立ち向かうマーストラ。
    マーストラ「古参の者を敬えぬものが、どうして総裁への忠誠を誓えようぞ」
    エゴボスラー「忠誠とは、目上に対しひたすら遜り、顔色を窺うことか」
    マーストラ「なに!」
    エゴボスラー「!実のある働らきもせぬ者から忠誠の講釈など聞きたくない!」
      屹度対峙する両者の気魄。
    総裁Z「やめい!」
      総裁Zの一喝が辺りに響く。
      はッと向き直るマーストラーとエゴボスラー。
    総裁Z「エゴボスラー、用件を述べよ」
    エゴボスラー「只今よりメカンドルに命じ、精鋭部隊による特殊作戦を展開致します」
    マーストラ「フフフ、精鋭部隊による特殊作戦とは……御大層な」
    エゴボスラー「(にらむ)」
    マーストラ「頭を下げる気持があれば、有効な助言をしないでもないが」
    エゴボスラー「(冷笑し)心配御無用。我がファミリーの中には、あなた以上の科学者が掃いて捨てる程いる! (総裁Zに)では」
      向きを変え、退室するエゴボスラー。
      マーストラ、拳が震えている。
    マーストラ「云わせておけば……!……(総裁Zに)あのような傲慢無礼な者が、永く忠誠を尽くすとお思いなのですか!」
    総裁Z「(呵々大笑)……よいのだ。奴の腹がどれ程黒かろうと、使える間は大いに使う。それが儂の主義だ……牙が我々に剝いた時に始末すればよい」
    マーストラ「……畏れ入りました。そこまで奴を見抜いていらしたとは」
  2. オールドヘブン市 飛行場
    N「その頃、ニューヨーグ市に近い、オールドヘブン市には、タンガニア国王が到着した——」
      タラップに姿を見せる黒い膚の国王、手を掲げて歓迎に応える。
      送迎デッキで出迎える市民たち。
      タラップ下で出迎える政府高官たち。南部の姿もある。
      南部と握手を交す国王、南部の陰にいるジョー、健に気付いて、
    国王「ひょっとして、この人たちは(南部に耳打ちする)科学忍者隊では?」
    南部「それは国債科学技術庁の最高機密に属すことでお教えできません」
    国王「(頷き)ようく判りました。頑張ってネ」
      と、健たちにウインク、スタスタ歩いていく。
    南部「(微笑)」
      気品の中にユーモアの漂う国王の表情。
    N「国王は愛と平和を力強く訴えかけ——」
  3. 遊園地
      より、行進し始める鼓笛隊。
    N「子供たちの熱い歓迎を受けた」
  4. 児童たちの歓迎パレード
      を見物する国王。
      特設された席には政府高官が居並ぶ。南部の顔もある。
      近付いてくる愛らしい児童たち——ブラスバンド、少年団の行進、バトンガール、鼓笛隊……。
      道路の両脇を埋めつくす市民たち。
      その中に潜むように立つメカンドル。
      鼓笛隊がスタンド正面に近付く。
    メカンドル「……驚くな……」
      メカンドル、手にした発信装置のスイッチを押す。
      鼓笛隊の動きが停った。
      うって変った鼓笛隊員の虚ろな表情。
    国王「どうしたのですか……」
    南部「(訝しい)」
      鼓笛隊員の眼が不気味に光り、いきなり野獣のように市民たち、警備陣に襲いかかる。
    国王「!?」
      南部、小型通信機をとり出し、
    南部「パレードに異常事態発生!」
  5. 人垣の外
      にいた健。
    健「ラジャー、すぐ駈けつけます」
      健、翔ぶように走る。
  6. 街路
      は騒然としている。
      顔をひきつらせて佇ち竦む市民。
      国王、高官たちを庇って立つ警備陣。
      子供たちは、数人がかりで紳士を襲う。
      笛を武器に幼児を打つ子供。
      花束を踏みくだく子供。
      太鼓を投げつける子供。
      駈けつけた科学忍者隊のメンバー、はッと立ち竦む。
      子供たち、次第に拡がり、獲物を狙うように進む。
      警備陣、武器を手にする。
      ジワジワと進む子供たち。
      警備陣、武器を構えている。
    国王「オーノー! なんということ……子供たちが! とても信じられない……」
    健「催眠ガスだ」
      健、ズボン脇のジッパーを開き、(催眠ガスの)弾筒を放り投げる。
    健「ジョー!」
      ジョー、ジッパーの中からとり出した羽根手裏剣で弾筒を射つ!
      催眠弾、子供たちの頭上で炸裂! 降下する催眠ガス。
      子供たち、一人、また一人と倒れ伏す。
    国王「……!」
      国王、安堵の余り、ヘナヘナと崩折れる。
      支えている南部。
      物蔭から様子を窺うメカンドル。
    メカンドル「フフフ……」
  7. ホテル 一室
      国王に向い立つ南部、深々と頭を下げる。
    国王「長官の気持、よオく判りました。幸い一人の怪我人もなく、ほっとしています。さ、頭を挙げて下さい」
    南部「は」
      と、緊張した顔を挙げる。
    国王「子供たち、どうしています?」
    南部「現在原因を究明しておりますが、まだなにも……」
    国王「なに、子供に悪人はおりません。明日のパレードを楽しみにしています」
    南部「そう云って頂けると、気持が安まります」
    国王「私、世界の国々をまわる間、色んなことに出会いました。怖ろしい眼にも一杯会いました。心配ありません、兵器です。世界を愛と平和で満たせ!この気持決して変りません」
      ノックの音がして扉が開く。
      顔を覗かせる健。
    国王「子供たちを傷つけなかったことにお礼をいいます。ありがとう」
      国王、健に近づき、掌を握る。
    健「みんな、すっかり元気になっています。御安心下さい」
    南部「では」
      と、会釈し、健と共に退室する。
  8. 病院 病室
      ベッドに起き上っている子供たち、子供らしい表情に戻っている。
    ジョー「いいかい、ようく思い出して、もう一度答えてくれ」
    男児「一体、何ン度訊いたら気が済むんだい? スタンドの正面まで来たら、急に頭がボンヤリして、気がついたら、このベッドの上だったんだ(と絵本を読み出す)」
      ジョー、隣のベッドに向う。
    ジョー「訊きたいことがあるんだ」
    別の男児「いいヨ」
  9. 同 応接室
      南部と科学忍者隊メンバーが集っている。
    南部「すると、誰一人、何も覚えていない、そうなんだね」
      頷くジョー、ジュン、竜、甚平。
    ジュン「これじゃ、まるでお手あげだワ」
      と、肩を聳やかす。
    甚平「子供たちに聞けば判ると思っていたんだけど」
    竜「原因不明のままじゃ、同じようなことが明日も起こるかも知れんぞ」
    ジョー「歓迎パレードの中止を申し入れるか」
    健「国王は残念がるだろうが、街の安全のためにはそれが一番だ」
      鳴る電話。
      受話器をとる南部。
    南部「え!? 駅前通りで群衆が騒いでいる?」
      はッとなる健たち。
    健「行くぞ!」
    「ラジャー!」
      駈け出している一同。
  10. 駅前通り(夕景)
      不気味な眼の光、憑かれたような表情の児童(のみならず老若男女が交って)が暴れている。
      石を投げる子供たち。
      ガラス窓を叩き割る青年。
      自動車を覆えす人たち。
      煽動者もなく、リーダーもいないが、群衆は規則正しく、器械のように周辺を破壊し終えると、次の街区に向い隊列を整え行進を始める。
      何かに操られた人々、手に手に松明を持ち、投げようとする。
      周辺のビルの屋上に立つ科学忍者隊の面々。健が、ジュンが、竜が、ジッパーの中から弾筒を投げる。ジョーの羽根手裏剣、甚平のスワロートップが弾筒を射つ!
      催眠ガスが辺りを蔽っていく。
      人々、意識朦朧として、膝をつき、うっ伏す。地面に落ち炎を弱める松明。
        ×    ×    ×
      催眠ガスは消えている。
      嘘のように睡りこけている人々。
      佇む科学忍者隊メンバー。
    健「……鼓笛隊の子供たちに限ったことじゃない……と、すると」
    ジュン「パレードを中止しても安全は保証できないかも」
    竜「こんなことが続けば、街がパニックになるぞ」
    甚平「急いで原因を探らなきゃ……」
    健「……ああ……(つぶやく)しかし……どうすれば」
      ジョー、女児を抱き起している。
      ジョー、女児の頬を打つ。
      ゆっくり眼を開く女児。
    女児「……ここ、どこ?」
    ジョー「(つぶやく)やはり何も覚えていないのか」
    健「(唇を噛む)」
  11. 病院 応接室
      健と話している南部。
    健「まるで集団で催眠術にかかったような動きでした」
    南部「催眠術?!……! そうかも知れん」
      南部、颯と立つ。
    健「……」
    南部「科学力を使って集団催眠を行えるのは」
    健「!ギャラクターとエゴボスラー一味」
    南部「(頷く)恐らくまちがいない。私は一旦ニューヨーク市に戻る」
    健「我々はここに留まって警戒します」
    南部「頼む」
  12. 同 病室
      ベッドに睡っている児童たち。
      見守るように立つジュン、甚平、竜。
      通信装置より発信音。
    ジョーの声「皆ンな屋上に来てくれ! 急いで」
      顔見合わす隊員たち、駈け出す。
  13. 同 屋上 夜
      ジョー、健、屹と見降している。
      駈けつけるジュン、竜、甚平。
    ジュン「どうしたの?」
      と、見降し、はッとなる。
        ×    ×    ×
      街路のあちこちを、なにものかに導かれるように歩く人、人、人……。
      一つの街路だけではない。夢遊病者のような人影が、あちこちに点在する。
        ×    ×    ×
    ジョー「どこか一方向に向っている」
      人影は、次第に列となり、群れとなって行く。
    甚平「あ! あの子たちも?!」
        ×    ×    ×
      病院の階下から、一人、また一人と、怪しい表情に変貌した児童たちが、魂を失ったかのように歩き出る。
      児童たち、吸い寄せられるように、人の流れに接近していく。
        ×    ×    ×
      ジュン、竜、催眠ガスの弾筒を投げようと構える。
    健「(制して)待て! 后を尾けるんだ」
    「ラジャー!」
      ひらりと舞い降りる健。従って降りるジョーたち、その颯爽とした身のこなし——。
  14. 遊園地 入口
      に吸い込まれるように入っていく人々。
      来るガッチャマンたち。
    健「……遊園地……?」
    ジョー「あの子、遊園地に来たといっていた」
    竜「パレードの出発地点はここだった」
    ジュン「この中に集団催眠の秘密があるんだワ」
      大きく頷く健。
  15. ギャラクター本部 エゴボスラーの室
      スクリーンにガッチャマン達の姿が映っている。
    エゴボスラー「さすがガッチャマン、その通りだ! その中に集団催眠装置が潜んでいるのだ」
      脇に立つマーストラ。
    マーストラ「遊園地を訪れた大人子供に超電磁催眠波を浴びせ、街中に混乱を惹き起こす……」
    エゴボスラー「お察しの通りだ」
    マーストラ「そこまではよくできた、と賞めておこう。だが、こうも易々と根拠地を探られるようでは、ハッハッハ、ファミリーの力とやらも知れたもの」
      哄笑するエゴボスラー。
    マーストラ「……?」
    エゴボスラー「ドラマはまだ終ってはおらん! 批評はあとにして頂こう」
      コニャックの匂を嗅ぎ、悠然たる嗤いを浮べるエゴボスラー。
  16. 遊園地 広場
      来たガッチャマンたち、立ち停まる。
      辺りは静まり却って人影はない。
    声「よく来たな、ガッチャマン!」
      ガッチャマン、見挙げると観覧車の頂きに立つメカンドル。
    メカンドル「さ、我々の言う通りに行動して貰おう」
      降り注ぐライトが健たちを浮び上らせる。
      屹と身構える健たち。
      そのとき、規則正しい脚音と共に、姿を現座す不気味な表情の児童、大人たち、手に手に銃を握っている。
    メカンドル「さ、無駄な抵抗はやめるんだ!」
    竜「なにを!」
      一同、催眠用の弾筒を装てんした銃を構えている。
    メカンドル「銃を捨てなければ、子供らを一斉に射ち殺す!」
      健たち、見ると、ギャラクターの兵士たちが、ヌッと出る。
      メリーゴーランドの陰、コーヒーカップの中、ジェットコースターのレール上……兵士らの銃口は、児童たちを性格に狙っている。
    健「……」
      健、銃を手離す。
      倣うメンバーたち。
    メカンドル「(つぶやくように)よし、それでいいのだ」
      メカンドル、発信装置のスイッチを押す。
      と、観覧車が廻り始める。
      奇怪な電磁波が発生して健たちを直撃する。
      健たち、体を動かそうとするが、動かない。
      悶え苦しむかのように、電磁波のシャワーを浴びる健たち……その手が空を把もうとする……。
      次第に、眼光は鈍り、虚ろな表情と化していく科学忍者隊メンバー。
      眼を綴じたメンバーたち、彫像のように立ち、動かない。

        ×    ×    (C・M)  ×    ×

  17. エゴボスラーの室
      スクリーンに石のような健たち。
    マーストラ「(つぶやくように)見事だ……こうすれば奴らを殺すことなど、赤子の手をひねるよりたやすい」
    エゴボスラー「いや、殺さぬ!」
    マーストラ「な、何だと?!」
    エゴボスラー「フフフ、ガッチャマンは今より、我が配下の者、思い通りに動かせる可愛い奴、ファッハッハ……生かして使うことこそ悪の道ではないか」
      マーストラ、エゴボスラーの哄笑を脅えるように見る。
  18. 遊園地 中
      催眠状態が解け、歩き出す健たち。
    N「——催眠から覚めた健たちは、遊園地に脚を踏み入れた后の出来事を、忘れ去っていた」
      辺りを見廻して、怪訝な健たち。
      夜間照明の中、楽し気で平和な遊園地の風景なのである。
      ジョー、笑い出す。
    ジョー「俺たち、少々敏感になりすぎていたようだぜ」
    ジュン「遊園地に集ってきた人を追ってきたのね」
      メリーゴーランドに乗っている男児、女児たち、手を振っている。全く普通の子供らに戻っている。
    甚平「あんなに楽しそうにしてるんじゃ、病院脱け出したこと、責める訳にゃいかないな」
    竜「そうとも(健に)な」
    健「(微笑)ああ」
    ジュン「でも残念だワ。集団催眠の謎が解けるかと思ったのに」
    健「南部長官の連絡を待つんだ」
  19. ISO本部 一室(資料室)
      係官、コンピューターで選び出された情報カードを取り出し、読む。
    南部「——」
    係官「長官、科学力による集団催眠は、論理的に可能です。特殊な超電磁波を大脳皮質に投射し、記憶の皺に一旦貯えれば、一定の電波で遠隔操作も不可能ではありません。恐ろしいことです………」
    南部「生きた人間を気付かれずにロボットにし、思いのままに操る、奴らの考えそうなことだ。超電磁波を妨害することは?」
    係官「敵の場に対抗できるだけの電磁場をつくり出すことができれば」
    南部「判った、電波車の用意を」
    係官「はい!」
      と、退室。
  20. ギャラクター本部 エゴボスラーの室
      スクリーンに映るメカンドル。
    メカンドル「準備は全て整いました」
    エゴボスラー「御苦労! そろそろ最后の仕上げに入れ!」
    マーストラ「? 最后の仕上げ……」
    エゴボスラー「あなたなら、思いのままに操れるガッチャマンに何をさせた!かね」
    マーストラ「!……国王……」
      思わずエゴボスラーを窺い見るマーストラ。
    エゴボスラー「さよう! 愛と平和の使者タンガニア国王をガッチャマンに暗殺させ、科学忍者隊が我がファミリーの部下だと全世界に公言する!」
      不気味に嗤うエゴボスラー。
      表情を凍りつかせたマーストラ。
    マーストラの声「怖るべき奴、こやつは必ず私の敵となる。早い内に始末をつけねば……」
      スクリーンには、ホテルの前を通る健たちの姿が映っている。
  21. 街路
      来る健たち。
  22. 観覧車 頂き
      双眼鏡で見降しているメカンドル、発信装置を押す。
    メカンドル「……行け……我らのために働らくのだ……!」
  23. ホテル 付近
      黒い影が走り、ヌッと建物の蔭から顔を出す健たち。科学忍者隊のユニフォーム姿である。だが、その表情は不気味で眼は怪しい光を放っている。
      健たち、屹と向きを変え、ホテルの中に入っていく。
      いかめしい警備陣も健たちには眼もくれない。
  24. ホテル 内
      憑かれたような表情で進んでくる健たち、エレベーターに乗り込む。
  25. 同 エレベーター 内
      メンバーの発信装置から漏れ聞える南部の声。
      「ガッチャマン! 科学忍者隊! 応答せよ!」
      微動だにしないメンバーたち、その不気味な表情。
  26. 走る電波車
  27. 同 内
      通信装置のスイッチを切る南部。
    南部「おかしい……誰一人応答しないとは……?」
    係官「  」
    南部「……もし、ガッチャマンが集団催眠にかかっていたとしたら……! 急いでくれ給え!」
      係官、頷き、アクセルを踏む。
  28. ホテル ××階
      エレベーターの扉が開き、長い廊下を進む健たち。
      向い側から警備の係官たちが歩いてくる。
      健たち、ずんずん突き進む。
      不審気に見る係官たち。
      健、ジョーの眼がギラリと光ったと思うや、当て身を喰わしている。
      ガクリと崩折れる係官たち。
      更に進んでいく健たち。
  29. ホテルの前
      電波車が到着し、降りる南部、警備の一人に、
    南部「ガッチャマンは来ていないか」
    「はい、先程」
    南部「(車内の係官に)君はここで電磁波をつくり出せ。私は中に」
      ホテルに駈け込む南部。
        ×    ×    ×
      車内。
      係官、懸命に電磁波発生装置のダイアルを調整する。
      電波車のボディに備えられた電磁波発生装置が作動している。
  30. ××階の廊下
      進む健たち、その動きが一瞬停る。
  31. 観覧車 頂き
      双眼鏡で健の動きを捉えたメカンドル。
    メカンドル「?どうした……」
    兵士「(かかえた計器の目盛を見て)何ものかが新たに別の電磁場を!」
      メカンドル、ホテル前の電波車を見て、
    メカンドル「ふん。我れらの科学力を見せてやれ!」
      兵士、頷く。
  32. 深夜の遊園地
      観覧車がぐるぐる廻り出し、勢いを増す。
      強力に中央から発生する一条のビーム!
  33. 電波車
      の電磁波装置の廻転が制御され、小刻みに震え始め、灼けただれる。
      車内の汁器は目盛りの針が乱れている。
    係官「だめだ! とても敵わない!」
  34. ホテル 廊下
      健たちの鈍い動きが止み、再びぐんぐん突き進むように歩き出す。
  35. ホテル 国王の居室
      ドアをこじあける健、凄い力だ。
      健たち、更に扉をあける。国王の寝室である。
      国王、手元のスイッチを入れると、室内が明るむ。
    国王「……!? 何の用かね、こんな時間に……」
      不気味な表情の健たち、つかつかと接近し、無言で襲いかかる。
      国王、身を躱して、駈け出す。
    国王「バカな、科学忍者隊が私を襲うなんて!……信じられん!」
  36. 廊下
      逃げる国王。
      追う健たち。
      健、ヒラリと舞って国王の行く手を阻む。
    国王「!」
      健、銃を構えジワジワ寄って来る。
      駈けつけた南部、国王を庇って立ち塞がる。
    国王「南部長官! これは一体?!」
    南部「悪の科学がガッチャマンを操っているのです!」
    国王「な、なんと!」
      健、狙いを定め、銃爪に指をかける。
    南部の声「!やめろ、やめるんだ、健! 集団催眠などに負けるな!」
      だが、健の表情は悪魔のように歪んでいる。
      南部、とり出した銃に弾筒を備えつけ射つ! 充満する催眠ガス。
      南部、国王、手で口元を蔽っている。
  37. 観覧車
    メカンドル「……殺れ! ひと思いに、それ、殺せ!……」
      メカンドル、発信装置のパワーダイヤルをひねる。
  38. 廊下
      健たち、不気味な表情は変らず、かッと瞠き、銃爪を引く指に力がこもる。
      額に汗の南部、はッとなる。
    南部の声「そうだ、ジョーはサイボーグだった!」
      南部、ジョーの肩を射つ!
      !と我に却るジョー、眼前の事態を察して、手刀、廻し蹴りで、健、ジュン、甚平、竜を倒す!
      吹っ飛ぶ銃!
      壁に、床に打ちつけられた健たち!
      ふッと健の表情が普段のそれに戻る。
      各メンバー、通常に戻っている。
      額の汗を拭う南部。
    南部「……よかった」
    国王「……! ありがとう……!」
  39. 観覧車 頂き
      発信装置を荒々しく操作するメカンドル。
    メカンドル「く、糞ッ」
      と、装置を叩きつける!
    メカンドル「出撃だ!」
      と、観覧車は、見る見るひとかたまりとなり、ジェットコースターなどと結合して、鉄獣と化す。
      鉄獣、辺りを踏みしだき進む!
  40. ホテル屋上
      G1〜5メカ、発信する。
  41. 鉄獣メカ
      観覧車部分は巨大なガトリング砲のように辺り構わず射ち続ける!
      砕けるビル、照明塔!
      咆哮し、猛り狂うメカ、その口から躍り出す兵士たち、ずんずん進んで来る!!
      その肩にバスノカミサイル!
      発射ズン線、G1のバルカン砲が命中!
      次々と倒れ伏す兵士たち。
  42. G・S合体!
      ガッチャマンフェンサーを構えた健が鉄獣の腹部中央に突っ込んでいく。
    健「ガッチャマンフェンサー! トゥアーッ!!」
      爆発四散する鉄獣メカ、無念の叫び!
      一瞬早く飛び出す観覧車部の一台、翼を整え、見る見る遠ざかる!
  43. エゴボスラーの室
      耐えようとしてもほとばしる憤怒の感情、ワナワナと指先を震わせるエゴボスラー。
      退室しようとしたマーストラ。
    マーストラ「……どうやらドラマは終ったようですな、フフフフ……」
      灼き尽さん許りの視線を投げ返すエゴボスラー!
  44. 見挙げる南部 早暁 滑走路
      帰ってくるG1〜5メカ。
      降りて来るジョー、そして健ら。
    南部「ジョー!」
      と駈け寄る。
      ジョー無言(信頼の表情)で頷くと肩の傷を手で抑える。
      待機している救急車に乗り込むジョーと南部。
    南部「大至急、国債科学技術庁に運んでくれ!」
      と救急車の運転手に命じる。サイレンを響かせて走る救急車。
    N「南部長官と科学忍者隊の斗かいにより、エゴボスラーの企みは失敗に終った。体内の点検を受けるジョーにとって傷の痛みは苦痛ではなかった——」
          ——つづく——

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