奇想奇抜40年の会場でファンの人達と合流、都内某所でパーティーのあと、近くのファミレスで朝まで語り合って過ごした。
ふりーく北波さんといろいろ話ができて楽しかったので、内容をメモしておく。
グレンダイザーのコミックスでの扱いについて。
豪版連載当時は、同時進行していたのがバイオレンスジャックと手天童子だったわけで、バイオレンスジャックはつかみ所がないけどまあイケイケのキャラだし世界は壊れてるし、手天童子は「産む話」だが主人公はそこそこ積極的に戦うし。
ゲッターの三人は「邪魔するものは全部ぶっとばす」、Zの甲児は明るくイケイケ、グレートの鉄也は「俺はプロ」と迷いがないし、ジーグは改造されたところから始まるから「戦うのは当たり前」。
その後のダイナミック系以外のロボットも、ダンガードAは「ハードル越えてやるぜ」だし、コンバトラーVやらボルテスVやらも主人公サイドは「俺たちの役目」と納得している。その後、松本アニメ全盛になったけど、ヤマトは「誰かがこれをやらねばならぬ」でばっちり使命感背負った話だし、999だと「機械の体を手に入れたい」と目標は明確、ハーロックは「俺は強い。あいつらしゃーねぇなぁ」とアウトロー路線をいくわけで……。
ところがデュークはというと「戦いたくないけど状況がこんなだから仕方ないし」なキャラ。この姿勢のキャラが次に出るのはガンダムのアムロだろう。これが、「戦いたくないけどみんなに言われるしでもやっぱり嫌」になるとエヴァのシンジだし。今でこそ内向的主人公は市民権を得ているけど、当時ではやっぱり異質というか、出てくるのが早すぎたのかも。
時代背景の方を考えると、ダイナミックもスーパーロボット系は全部専守防衛、軍隊化しないという共通点がある。スーパーロボットはとどのつまりは超兵器なのだから、軍属にして兵器として管理運用するのがストーリー上も自然だがそうなっていない。多分、リアル自衛隊の扱いやら反戦ムードがあったから、アニメではできなかったのだろう。例外的に桜多版のコミックスはきっちりミリタリーを描いているが、あそこが限界ではなかったか。結局、宇宙世紀に話を持っていって連邦軍対ジオンということにして「リアル世界とは関係ないです」と吹っ切ったガンダムで初めて主人公がミリタリーに属することになる。つまりガンダムに至るまで、ロボットアニメの設定にミリタリーを正面から組み込むことができなかった。
デュークが自分では動かないキャラで、ストーリー上ミリタリーな展開もできないし、となると、そりゃ動かしにくいわな。桜多版で洗脳云々という話に持っていったのはある意味自然な流れだし、他に展開のさせかたがなかったのだろう。アニメ版を見ても、デュークが原因で事件になるのって、前半ではナイーダの回、後半でも昔の知り合いが出てくる回だけである。前半は甲児が先に飛び出すし、後半は主にマリアが事件を持ってくる。主人公が積極的でないから、敵役のコマンダーのキャラを立てる以外にやりようがないわな。
あれでもしベガが攻めて来なかったら、グレンダイザーはダムの下でお蔵入りのまま、デュークは宇門博士の息子として牧場の仕事をしてそのまま終わっただろうし、地球に来てからの2年間なんてほとんどニートではないかと……。こりゃ他のダイナミックキャラとはそりが合わないわ。
こんな話をしていたら、もし石川賢版グレンがあったらどうなるだろう、という話に。
・母性を滅ぼされたデュークは当然復讐の鬼。怪我が治るなりリベンジの準備にかかる。
・宇門博士が敷島博士化してマッドな方にぶっ飛んで超兵器の開発に積極的。
・スカルムーン基地は最低でも月の裏側全面基地化。内部に超兵器が隠されていたり。
・甲児や鉄也はZやグレートを宇宙仕様にして、ブースター背負ってでも地球外に向かって殴り込み。
・戦いの結果、月は破壊され、地球も大被害、下手すると太陽系があぼーん。
・グレンダイザーが無意味にパワーアップしていろいろ飲み込んだり。
・最後は銀河系全域を巻き込んで、アンドロメダのベガに殴り込みかけるシーンで終わるとか、グレンダイザーが宇宙規模の超パワーを持った存在でベガの方も似たような物で、結局ハルマゲドン。
グレンダイザーって「デュークと宇門博士の性格がアレだから大した騒動が起きなかった」という話に見えてくるんだが。