ビデオチェックをしたり、魔神全書を読み返したりしながら考えていたら、ふと。
グレンダイザーと、前2作のマジンガーZ・グレートマジンガーを分けるものは、「オカルトの排除」ではないか。
Zに出てくる道具について考えてみる。まず、超合金Zや光子力という凄い材料があることを前提にした話で、それはSFとしては全くOK。敵側の、あしゅら男爵やブロッケン伯爵も、サイボーグだということで、あの世界観には登場しても違和感なし。ロボットや、それをあやつるバードスの杖も、リモートコントロール装置だということで話は済む。いろんなビーム兵器などが凄い機能を持っていても、それもSFのガジェットとしては有りだろう。35話の無限鏡地獄は、人の認識を狂わせるビーム兵器ということで説明できる。
37話で、ロクロンQ9の格納庫からの消え方の説明が無かったのが微妙。まあ、幻覚を見せる「テクノロジー」として説明できないこともないから、このあたりがSFとしてぎりぎりのところだろう。
ところが、後半の83話になって、ピグマン子爵について、
シロー「先生、忍者みたいなやつですね」
弓「いやあ、妖術使いと言ったほうがよい」
と、博士に言わせてしまっている。科学者に妖術を正面から認めさせたら、SFとしてはまずい……というか破綻するんじゃないか。
グレートはどうか。6話で、妖術を使う戦闘獣サイコベアーが登場して「呪いの人形」が出てくる。実際に、「呪い」の効果で鉄也は痛みを感じている。
グレンダイザーは、幻覚を見せるということでは、蜃気楼発生装置があるが、一応SFの道具の範疇にある。デュークのテレパシーやマリアの予知能力は、まあ、普通より勘がいいというレベルに留まっている。デュークの変身能力にしても、出し方をSFの道具として説明することは可能な範囲だろう。洗脳にしても、マリアに幻覚を見せるシーンにしても、装置があってテクノロジーでやっている描写になっている。
異形の生物やサイボーグやロボットはいくら登場してもいいし、そもそも生命体としてのあり方が異質といった説明で何とかなる範囲であれば、SFに入るのだが、攻撃方法が呪いや妖術というものになってしまったら、SFとしてはお約束の範囲外ではないか。まあ、多少そういうものが混じったからといって、Zやグレートの魅力が無くなるわけではないのだが……。
意図的にやったか無意識的にか、グレンの世界では、呪術や妖術といったものは出てこない。この部分で、質的に、前2作とは異なっている。