こちらで紹介したフランス語バンドデシネの内容を紹介する。twitterだと数が増えるのでまとめを書くことにした。本を買って自分のペースで楽しみたい人は、本を読んでから見に来て下さい。


月面の、スカルムーン基地のあった辺りを、宇宙飛行士が調査に来ているシーンから始まる。隕石か何かが落ちたので調査に来てみたことが通信内容からわかる。スカルムーン基地は℃台の部分だけ残っていて、ベガトロン放射能も検出されたが、異常が見当たらない。ベガトロン放射能の線源に向かって調査を進めると、放射能が減ってしまう。ベガトロンは自然に減らないのでおかしい、と周辺を調べると、円盤の一部らしきものが地面から飛び出していた。巨大な円盤が飛び立ち、宇宙飛行士との交信は途切れてしまう。

東京のミッションコントロールセンターでは、ベガ星連合軍が戻って来たことを察知する。

それからすぐに、富士山に巨大な飛行物体が落下する。落下地点を調査すると、地面が割れ、その下は融けてしまっていて、富士山は噴火しつつあった。

場面変わってどこかの大学病院の手術室。ひかるが子供の患者を執刀していて、医学部の教授が指導している。手術は完璧であった。手術室に看護師が駆け込んで来て、富士山が爆発し、救急治療室に患者が運び込まれていると伝えてくる。ひかるも処置に加わる。患者の一人が、グレンダイザーがかつて戦っていたのよりもっと恐ろしい円盤獣が来たと言う。

都心のビルにある甲児の会社。秘書が甲児の電話を預かっていて、ひかるからの電話をうけ、取り次ごうとする。最近巨額の売り上げがあって、社長の甲児はボーナスをどうするかで従業員たちとゲームの最中で、なかなか電話に対応しようとしない。ふと外を見ると隕石のようなものが炎の尾を引いて凄いスピードで降下してきた。落ちてきたのは、禍々しい雰囲気の3つ首の円盤獣だった。甲児の会社も落下の衝撃で窓ガラスが割れる被害を受けた。

落下してきたのはひかるの病院の直ぐ側で、病院の建物がダメージを受ける。このとき、甲児とやっと電話が繋がる。ひかるのピンチを知った甲児は、バイクに乗って走り出した。とある倉庫まで来て中に入ると、尾翼に「2」の数字の入ったTFOが置いてあった。甲児はずっと趣味でコツコツTFO2号機を作っていたのだった。


1章はここまで。この本の作者は、次の展開が気になるところで章を区切っている。

1章のタイトルは、”LUNE NOIRE”で、直訳すると「黒い月」あるいは「暗い月」。しかし、フランス語版グレンダイザーでは、スカルムーン基地のことを”Camp de la Lune Noire”と呼んでいるので、この場合の”LUNE NOIRE”は「スカルムーン」の意味になる。

バンドデシネでは、甲児君は会社のCEOをしていて、眼鏡をかけて登場する(p.12のコマより)。

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これと似たような甲児君が、実は、日本のマンガにも登場している。こちらの甲児君は、剣鉄也と一緒に会社を経営していて、眼鏡とスーツ姿で登場する。出典は、「THE RIVIVAL OF MAJINGAR SPIRITS」 (榎本明広)で、「ザ・モーションコミック」という雑誌の10号と11号に連載された。10号は、1989年12月1日に発行された。

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p.14の1コマ目。甲児君からの電話の着信音は、David BowieのLet’s Dance。

バンドデシネの後の方には、企画についていろいろと書かれているのだが、全部フランス語なのでまだ内容が確認できていない。榎本氏のマンガをリスペクトして眼鏡甲児君にしたのか、偶然の一致なのか知りたいところではある。

円盤獣は東京の文京区に来たことになっている。リアルでは、文京区には、東京大学医学部、順天堂大学、東京医科歯科大学、日本医科大学の、4つの医学部の大学病院がある。ひかるさんはどの大学かな、と、読んでいてちょっと気になった。圧倒的に学費が安いのは東大だが……。

日本では先にマジンガーZが放映されて、兜甲児はZで戦う主役だった。それが、グレンダイザーになって、手製の強く無い円盤で飛んでしばしば撃墜されるようになったんので、Zのファンでヒーローであってほしいという人達は、グレンダイザーを良く思わないということが起きた。フランスでは最初に放映されたのがグレンダイザーだったので、そういうわだかまりは無かった。会社経営していてもこっそりTFO2号機を作っているという演出を見る限り、甲児君=自分で円盤を作る人、という位置づけになったのだろう。