Reeさんのネタ話へのお返しです。
次の日……。
三日月基地の廊下を歩いていた健とジョーは、南部の実験室から聞こえてくる声に立ち止まった。
『お、おい、ちょっと……』
『南部よ、何をそんなに慌てているんだ?』
『くっ……辛い、これはきつい……』
『我慢しろ、まだ三分も経っとらんぞ!』
『ま、まだそれだけなのか……』
『ぐだぐだ言わんとさっさとぶち込め!一発だけで音をあげる奴があるか!』
『うぐっ……』
『もっとそっとやらんかっ!』
『うるさい、レッドインパルスっ!』
(三分って、まさか南部博士まで……)
健とジョーは顔を見合わせた。
(しかも相手がレッドインパルス……って、ここ、基地の中だぜ?)
『こら、何やってる。もっとケツを上げろ!見えないだろうが!』
『うう……』
『大体お前は強く握りすぎなんだ。敏感なんだからもっと気を付けろ』
『やかましい、私は後ろがいいと言ったのに、君が無理やり……』
『私の方が上手なんだから仕方がないだろう。お前が後ろじゃ話しにならん!ほらちゃんとよく見ろ』
『そんな事を言ったって……』
(一体どういう体勢なんだ?昨日の鳥のビデオを考えても、前と後ろが時々逆のような気がするが)
健はジョーに向かって首をかしげた。
(さすが博士だぜ、かなりアクロバティックなことをしているらしいな)
『こりゃ、博士、大変だわ……』
『博士ーっ!しっかりーっ、オイラも応援してるよーっ』
(リ、リュウと甚平まで……)
健とジョーは唾を飲み込んだ
『レッドインパルス、私はもう限界だ……』
『我慢しろ!終わりたきゃさっさと残りをぶちこめ!ケツ上げてそのまま突っ込まなきゃ届かん!こら、どっちを向いてるんだ』
『ううっ……私では健のようにはいかん』
(やっぱり、博士とレッドインパルスの両方にバレてたんだーっ!)
健とジョーは顔を引きつらせた。
『何を弱音吐いてるんだ!情けない』
『健……!私は、もう……』
南部の悲鳴に、反射的に健とジョーは実験室の扉を開けていた。
三軸に可動するアームの先に、二人乗りの戦闘機の座席が取り付けられていた。座席を取り囲んで配置された全周モニターがめまぐるしく回転する地面と空を映し出していた。前の席から南部が立ち上がり、降りようとして足を踏み外した。健は、慌てて南部を抱きとめた。
「これは一体……」
後部座席からレッドインパルスがいつもの赤いフライトスーツのまま立ち上がり、身軽に床に飛び降りてきた。
「新型の二人乗りの戦闘機用に南部が作ったシミュレーターだ。なかなかよく出来ているぞ」
レッドインパルスは腕組みをした。
「明日、南部が開発した新型機の試験飛行をするが、今回は設計者として自分で飛んでみたいと言いだしおったから、訓練に付き合っていたところだ。南部もライセンスは持っている事だしな。で、試しにウチの部隊が使っている空戦用のプログラムをやらせてみたんだ。基地を強襲されたインターセプターの発進手順で、最初に一回ひねって一発ぶちこんで急上昇……のはずが、南部の奴、離陸して三分も経たないうちに、目標も僚機も見失うは、操縦桿を倒しすぎて機体の制御はし損なうは、挙げ句に目を回しおった……。機体のケツを上げてそのままの角度を維持して加速すればレーダーレンジにターゲットが入ると俺が言ってるのに、真っ直ぐに飛ぶことすらできんのだ」
南部は、蒼い表情で口もきけずにぐったりと健にもたれかかっていた。
「充分な戦闘機動が必要だといって、感圧式の敏感な操縦桿を採用したくせに、乱暴に扱うからこうなる」
レッドインパルスは、回転を続けるモニター画面を親指で指した。
「飛行訓練で後部座席に座るのは教官と相場が決まっている。南部よ、お前の腕では、当分後ろには乗れそうにないな」
「そ、そうだったんですか……」
健とジョーは冷や汗を拭った。
「博士、テストパイロットには俺が居るじゃないですか。無理なさらないでください。さあ、部屋に戻って休みましょう」
健とジョーは、両側から南部を支えて立たせた。
「……少し休んで回復したらもう一回だ。次はミサイルも機銃もきっちりぶちこんでやる……」
「おー、その意気だ……」
レッドインパルスの高笑いが実験室に響いた。
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ぶははは!
宇門「南部君。君の操縦ぶりはこっちでも見せて貰ったよ。わはは! 中々の腕前だねぇ」
南部「なっ何故!」
宇門「ふふふっ! うちの忍者隊メイドマンを嘗めないでほしいね。ふふふ……」
南部「うっ! も、もしかしてモニタリングしてたのがそっちに流れたのか?」
宇門「ISOもまだまだ甘いね。ふっ!」
と、宇門パパの声が聞こえてきたのよねぇ(笑)
Reeさん、
グレンフィクの方で、試験機つくってシミュレーターでやった後、実際に上空に上がってロケットを切り離してテスト衛星を軌道投入ってミッションを宇門博士にやらせる、てのを書いてまして(まだ未公開のエピソード0の中でですが)。実はウチのフィクの宇門博士、けっこう操縦上手かったり……(汗)。
そうそう だって涼さんのフィクでダブルスペイザーを操縦してたもの。宇門パパ・・・
だから南部君に突っ込んだと言うわけです(笑)
なんにでもパロりたい私で申し訳ない(^^;)
Reeさん、
だって、ひかるさんが初搭乗でまがりなりにも飛ばしちゃってますから>ダブルスペイザー。
むしろ、操縦の難易度を下げるところまで作り込んだ宇門博士の技術の方が凄いんじゃないかと、私は思っていますですよ。
あー、びっくりした。本当に「壁に赤親父、障子に南部くん」かと(笑)なんか、赤親父にはこういう事には関わって欲しくないというか・・知ったとしても、バカボン(林所員に非ず。本物の方)のパパのように「これでいいのだ」と高笑いをしていただきたいものです。大物だ!
裕川さんのお話は、宇門博士は天才肌に感じるけど、南部博士は努力家・秀才って感じで親近感がありますね。
あたるさん、
開発話をやろうとすると、すんなりモノができたのでは話にならないので、どうしても現場でがんばってるシーンを書くから、努力家に見えるんでしょうね。
個人でのびのびやればいい宇門博士と、大組織の中で時には権力闘争もしながら仕事しなきゃいけない南部博士(後に長官というトップにまで登りつめる)じゃ、かなり個性が違うと思いますよ。その違いが出せるといいんですが、なかなか難しいです。
でも、ちゃんと見直してみると南部博士って面白い個性してるんで、これからも、掘り下げてきちんと書いてみたいです。