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絆 9

by Ree


 もう一個おまけ……
 
 —宇門邸—
 宇門と大介は、暖炉の前でとりとめのない会話を楽しんでいた。
 ピンポーン
 宇門邸の玄関のチャイムが鳴った。
 宇門が応対にでると、
「宅急便でーす」
 と、若い男の人が、どでかい段ボール箱を持ってやってきた。
 あまりの大きさに一瞬ひるんだ宇門だが、送り主を確認すると、夕子の兄、平井君だった。
 手紙が張り付けてあったので、どれどれと言いながら手紙を開いた。
 ———
 拝啓、宇門先生。
 先日は、妹が大変お世話になりありがとうございました。
 そちらから帰ってきた夕子は、人が変わったように明るくなり、加藤君と結婚すると言い出しました。
 夕子の心境の変化は何だったんだろうと聞いてみると……
 そちらで、かわいい男の子に会った。と言って、自分は母親代わりをしてきたと言うのです。
 あまりにその子がかわいかったので、自分も早く子供が欲しいと思い結婚を決意したと言うのです。
 やっとこれで、夕子も落ち着いて新しい人生を歩みはじめることが出来ます。
 先生には大変感謝しております。
 つきましては、そのかわいいお子さんにお礼のつもりでこの品をお送りしますので、お渡し下さい。
 夕子の代わりにかわいがってやってください。
 ありがとうございました。
 敬具
 ———
 
 (え?もしかして、大介にか?)
 宇門は、どでかい段ボール箱を開けた。
「あっ!」
 
「おーい!大介、ドアを開けてくれ……」
「何ですか?」と言いながらドアを開けると……
「うっ!」
 と言いながら大介は後ずさりした。
 ドアの前に、でっかいティディベアのぬいぐるみが立っていたのだ。
「と・父さん!それ、どうしたんですか?」
 大介は顔を引きつらせていた。
 宇門は、ティディベアを抱きかかえたままリビングに入ってきた。
「平井君から、お前にだってさ」
「い?な・なんで……?」
 大介は、意味が分からず宇門と距離をとりながら後ずさりをする。
「そりゃお前が、夕子君がいなくて寂しがってるんじゃないかって、平井君の思いやりさ」
 宇門は、無理矢理大介にティディベアを押しつけた。
「……?・?……」
「よかったなぁ、大介。これで母親がいなくても寂しくないぞ!あははは!」
 宇門は、お腹を抱えて大笑いした。
「……」
 大介は、ティディベアを抱えたまま座り込み、しばらく放心状態だった……

 終わり

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