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13.狙われたグレンダイザー

ストーリー紹介

 白樺牧場では正月の準備をしていた。吾郎は凧揚げ用の凧を作り,大介とひかるは餅をついていた。団兵衛もやってきて,餅つきの手本を見せるとはりきるが,つく前に腰を痛めてしまった。番太もやってきて餅つきを手伝い始めるが,ハラがやってきて番太を引きずって帰った。自分の家の餅つきをさぼっていたからだ。その時,鳥が一斉に林から飛び立ち,動物が騒ぎ始めた。山の向こうで何かが爆発している。

 大介は研究所に向かった。モニタースクリーンには,太陽熱を楯で集めて放射し,街を攻撃する円盤獣ゲルゲルが映し出されていた。グレンダイザーをおびき出そうとしていることを知りつつ大介は出撃する。甲児は宇門所長に消火作業を命じられて不服顔だ。デュークは,スピンソーサーやメルトシャワーで攻撃したが,楯にさえぎられて効かない。甲児は街の火を次々に消していった。デュークは攻撃のためにダイザーを分離させた。そこへ甲児がやってきてミサイルで援護する。しかし,TFOが円盤獣の光線の射程に入ったことを知ったデュークは,グレンダイザーでTFOをかばって光線攻撃を受け,武器が作動しなくなってしまった。反撃でkないグレンダイザーは円盤獣に一方的に攻撃され,焼かれそうになるが,TFOに火を消してもらって再びスペイザーと合体,アンチレーダーミストを放射して研究所へ戻った。時刻は夕方で,円盤獣ゲルゲルは太陽エネルギーが使えないので待機の構えだ。

 大介は,夜の間に武器を修理しようと考えた。そこへ団兵衛がやってきて,牧場の仕事のために大介を連れ出した。動物が落ち着かない上に,夜明けには馬が子供を産みそうだ。大介は徹夜で馬のお産をみる。

 甲児は,グレンダイザーの故障の責任を感じてジープで円盤獣に接近し,爆薬を使って爆破しようとした。ロープを円盤獣にひっかけて円盤獣に上って爆薬を仕掛けた。しかし,高性能爆弾も円盤獣には全く効かなかった。逆に,円盤獣の光線攻撃に追いかけられて逃げることになった。

 スカルムーン基地では,デュークフリード討伐のめどがたったと,ガンダル司令がベガ大王に報告していた。太陽熱で焼き尽くすローラー作戦だという。

 明け方,無事に元気な小馬が産まれたが,ほぼ同時刻に円盤獣も動き出し,白樺牧場に向かって移動しはじめた。甲児はTFOで出撃し,が武器をなおす隙を作ろうとするが,大介はそれを止めて,武器が使えないまま出撃するのだった。ミニフォーの攻撃を受けても武器で反撃できず,体当たりして撃墜した。円盤獣を食い止めるために分離して,円盤獣に組み付くが,円盤獣をとめることができない。デュークは円盤獣を前にして武器回路の修理を試みた。

 円盤獣を倒す方法は,ミラーで太陽熱線を反射して内部装置を焼き尽くすことだと宇門所長は指摘する。がとても危険な作戦で,装置を破壊できなければ黒焦げになってしまう。しかし,甲児はTFOの裏側にミラーを貼り付けて出撃した。

 デュークは修理を継続するが,外から衝撃を加えられてなかなか思うにまかせない。そこへ甲児がやってきて,ミラーで熱戦を反射させて円盤獣の機能を狂わせることに成功した。ちょうど武器回路の修理を終えたデュークはグレンダイザーで反撃に出た。突進してくる円盤獣をダブルハーケンで一刀両断して倒した。

 白樺牧場では再びもちつきがはじまっていた。宇門所長が甲児宛ての手紙を届けに来た。手紙には,甲児の友達のボスが遊びに来ると書いてあった。吾郎の作った凧も,風に乗ってうまく上がり,正月の準備は整った。

架空座談会

宇門「大介,今回もずいぶん行き当たりばったりな出撃をしていたねぇ」
大介「は?」
宇門「武器が使えないのに出撃して,円盤獣の真ん前で直すというのはどうかと思うよ」
大介「だって……団さんに牧場を手伝えって……馬が子供を産みそうだから付き添えって言われて,どうしようもありませんでしたよ。あっちも徹夜になっちゃいましたし」
宇門「牧葉一家にはお前の正体を隠してあるからねぇ。仕方がないのかもしれんが」
甲児「研究所を手伝ってもらうとかなんとか,所長からも団さんに言ってくれりゃよかったのに。俺が言うだけじゃ聞きゃーしねェんだから,あの頑固オヤジ」
宇門「しかし,投げ縄で縛られて引っ張って行かれるとはねぇ,大介。お前は牛か馬並みに扱われているようだね」
甲児「団さんは若い頃テキサスでカウボーイをやってたんだってな。それにしても,デューク・フリードに投げ縄をかけるなんざ,大した腕だぜ,まったく」
大介「甲児君,感心してる場合じゃないと思うんだけど……」
宇門「まあ,お前は地球人よりは,はるかにパワーがありそうだからねぇ。相手が牛や馬でも十分張り合えるんじゃないか」
大介「僕は家畜扱いですか……(泣)」
甲児「先生、その張り合うって,一体何を……?」
宇門「まあそれはその……フフ」
甲児「ところで,武器回路の修理といっても,部品を取り換えたわけでも工具で何かやったわけででもないんだよな。でかいネジ回したり,パネル開けたりしてるみたいだけど」
宇門「フリード星の守護神にしては,随分あっさりと壊れるじゃないか?いささか頼りないねえ」
大介「そんな深刻な壊れ方じゃなかったので……」
甲児「ま,ミラーでうまく反射させて円盤獣を狂わせることができたから,時間がかせげて良かったんだけどよ」
宇門「そういえば,11話といい今度といい,TFOにミラーの組み合わせは使えるねぇ」
甲児「グレンダイザーもミラーコーティングすれば,今回のような攻撃を受けても大丈夫なはずだぜ?」
大介「守護神が金ピカじゃ様になりませんよ……」
宇門「しかし,地球でも,インドあたりの仏像は巨大な上に金ピカだよ。極楽浄土をイメージしてるからんだろうがね」
大介「フリード星には仏教はありません!」
甲児「でもフリード星人ってやっぱり頑丈だよなあ。修理中にグレンダイザーを散々叩かれて,中で揺さぶられても大した怪我もしていない」
宇門「それより儂は,グレンダイザーの内部に結構余裕があることの方に驚いたよ。もっと機材が詰まっているのかと思っていたんだがね」
大介「あれは、操縦席のピットが移動する通路の脇の部分です。それ以外は詰まってますよ」

SF的考証:デュークの身体能力

 デュークの身体能力は,地球人に比べてはるかに高い。第2話では団兵衛が暴走させたTFOに飛び乗るときは,身長の何倍かを軽くジャンプしている。第10話で川を流される新一を追いかけて走るシーンや,第27話で洞窟内を走るシーンを見ても,短距離走なら地球人をはるかにしのいでいる。格闘技はどうかというと,鉄仮面軍団を何人も倒した甲児でさえ軽くあしらっているし,第20話でも華麗な(?)戦いぶりを披露した。4話ではサイボーグ犬を素手で倒し、25話でもベガ星兵士を簡単に打ち倒している。
  シューターからの出撃時は、格納庫の高い天井から猛スピードで飛び出し、空中で変身しながらコックピットに飛び込んでいる。この時の落下距離は、設定画などから推定すると30-40 mはある。タイミングを合わせてコックピットに飛び降りるだけでも、普通の地球人にはほとんど不可能だろう。
  戦闘服に関する考察で、戦闘服自体に重力制御機能があるのではないかと書いたが、27話では、研究所陥落の際に、100メートル以上の落差のあるダムから川に変身無しで飛び込んでも全く無傷であることから、やはり地球人に比べてずっと頑丈であることがわかる。

 文芸資料によると、フリード星の重力が地球の1.4倍でデュークはプロレスラー二人分の力がある、とされている(テレビランドワンパック)。この資料を採用すべきかどうかだが、私の解釈としては、もともとフリード星人は地球人より頑丈で身体能力もすぐれている、とすべきであると考える。理由は、一般に生物は重力が小さい方に適応するのは容易だが、大きい方に適応するのは難しいということによる。もし、戦いの間に地球の重力に適応してしまったら、戦いが終わってフリード星に戻った後は、普通に歩くだけで息も絶え絶えということになりかねない。また、小さい頃に亡命してきて地球の環境に適応しつつ育った筈のマリアも、地球人よりずっと敏捷で、デュークほどではないにしてもジャンプ力も相当ある。このことも、もともとフリード星人は身体能力が地球人より高いことの裏付けとなる。

 これはむしろ余談だが、おそらく、地球人にはグレンダイザーの操縦は無理だろう。機械の時定数や操作に対する反応が、フリード星人の反射神経を前提に最適化されているとすると、機械の速度に地球人の操縦者はついていけない可能性が高い。