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成果と評価と ー博士達についてー

まずはフィギュアの紹介から

 浪漫堂から出ている「人類の足跡シリーズ」の、兜十蔵博士と弓弦之助教授の胸像を買ったので紹介する。

kabuto01.jpg 兜博士斜め 兜博士横

 台に乗せた正面の像、斜め上、横からの写真を撮ってみた。「光子力エネルギーの偉大なる父」という表現が、作品世界における十蔵博士の位置づけを実に良く表している。享年69歳というのがちょっと哀しい。

弓教授正面 弓教授正面拡大 弓教授斜め 弓教授横

 こちらは弓教授。「偉大なる頭脳を世界の為に寄与 光子力研究所二代目所長」とある。眼鏡があって顔がわかりにくいので、正面拡大写真も撮ってみた。

 どちらも、アニメの設定にかなり忠実でよく似ている。表面がメタリック塗装で、金属製のような外観である。

感想など

  元々、マジンガーワールドの博士達のファンなので、フィギュアが出ていることを知って、在庫が無くなる前にと慌てて注文した。今のところ、兜十蔵博士と弓教授だけが商品化されている。

 弓教授の肩書きが正式なものだとすると、大学ではない独立の研究機関で教授を名乗れるのは文部省配下の国立研究所だけだから、光子力研究所は国立の研究機関ということになる。弓教授が兜博士の一番弟子だということは、兜博士は大学に居た時期があって、弓を指導していたことがあったのだろう。
 大学や国立研究所でそれなりのポジションを得るということは、十蔵博士も弓教授も、研究者としては正統派・主流であったはずである。十蔵博士については、光子力という新エネルギーの発見・超合金Zの発見・マジンガーZの開発、と歴史に残る成果を挙げたことに疑いはない。弟子の弓教授は、ロボットの開発では十蔵博士に及ばなかったようだが、それでも大きな研究機関の所長を務め、光子力の研究をさらに発展させ、ドクターヘルの迎撃の指揮をとるなど、やはり国民みんなが認める正統派の科学者であろう。この二人の像が作られたとしても、何の不思議もない。ってか、ロボット博物館あたりに立ってたり、光子力研究所の玄関あたりにこの写真のまんまの姿で飾られていても何の違和感もない。

 では、兜剣造博士はどうか。

 表向き死亡のまま、秘密裡に科学要塞研究所とグレートマジンガーを作っていた。超合金ニューZは彼の手によるものだろう。ロボットの性能について、十蔵博士を超えたことは間違いない。ただ、秘密基地建設であったため、途中で起きた事故も表沙汰にはできず、後から調査するといろいろまずいこともしていたかもしれない。
 それでも、研究の路線は光子力のさらなる利用技術の開発・さらに高性能なロボットの開発であるから、十蔵の流れを引き継ぐ正統派の中に位置しているとはいえる。対ミケーネ戦の英雄でもある。まあ、国立の研究施設内に像を置くのはどうかとは思うが、どっかの公園あたりに像が飾ってあってもおかしくはないだろう。上野の西郷さんの隣とか(笑)。

 さて、私は博士達の中で宇門博士が一番好きなのだが、どうも宇門博士については胸像を作って飾る対象だという気がしない。

 宇門博士は、宇宙人実在説を唱えたから天文学者の中でも異端とされていたわけで、主流からは相当外れていたと思われる。デュークを保護したことを発表していないので、その時は自説を実証する機会を失っている。だが、ベガ星連合軍が攻めてきたわけだから、宇宙人実在説がこれ以上はない形で実証されたわけで、主流に返り咲いても良さそうなものなのだが、作中にはそういう描写がない。もっとも、宇門博士自身は、自分のポジションが主流か異端かなど、どうでもいいと思っていそうである。
 宇門博士の成果は、異星人テクノロジーである光量子エネルギーを、ロケットエンジンや武器に使える程度にはモノにしている。また、3機のスペイザーは宇門博士の設計・製作によるものだろう。甲児君の仕事だという話も見かけるが、設計図通りに機体を作れないといういささか行き当たりばったりな開発をしているシーンがあるので、ちょっと無理だろう。
  あまり強調されないが、スペイザーはとんでもなく凄い機体である。マジンガーZやグレートマジンガーはせいぜい数十トンだから、機体に括り付けることさえできれば、普通の輸送機でまとめて運ぶことは容易である。従って、スクランダーの開発もグレートブースターの開発も、人類が手にした航空機設計の技術で実現できる範囲にある。一方、グレンダイザーの重量は280トンとされているが、これは、世界最大の輸送機の離陸重量をゆうに上回る。スペイザーは、このグレンダイザーを飛ばすだけではなく戦闘機動までさせている。スペイザーは航空史上、最大の離陸重量を持ち、ダントツの推進力と機体強度を備えた航空機ということになる。はっきり言って航空機としてはバケモノである。こんなものをあっさり作ってしまったわけだから、機体開発者として宇門博士はもっと評価されてもいいはずである。
 さらに、電波望遠鏡という精度が要求される実験設備の製作と運用に加え、自前のロケットで有人宇宙飛行と軌道ステーション建設までやっている。
  しかし、天文学者としては決して主流にはなっていない。宇門博士については、銅像を造って敬うとか記念する対象にするというのは、あまり似つかわしくない。

 まあ、博士のファンだから、浪漫堂さんには兜剣造博士も宇門博士も、フィギュアを出して欲しいとは思うし、出たら絶対買うと思う。ってか、宇門博士ならイタリアとフランスに輸出したらそれなりの売れ行きがあると思うので、ぜひやってほしい。それでも、宇門博士については台の上に乗っかる胸像ってそぐわないなあ、と思うので、ファンの心としてはちょっと複雑である。いやまあ、異端のまま駆け抜ける博士萌えなのは否定しないけども。