07
長い間地球で生活をして来たデュークにとって、フリード星の夜は長かったのである。しかし、そればかりではない。地磁気異常でコンパスが使用できない今、正確な方角を知る術は恒星カオスの昇る地平線の位置しかなかった、彼は日の出を見る為、意識的に早く起きたのでもあった。彼はグレンダイザーを降り、あたりを見回した。まだ太陽は昇っていなかった。空は少々雲が多いものの、碧空が多く覗いていて、気持のよい朝だった。やがて、空のある白んだ一方から眩しい光と共に太陽が顔を覗かせた。その光は大地をあますところなく照らし出した。壮大な夜明けだった。もう二度と太陽は昇らないと思われたこの大地に、再び太陽はやって来たのである。そして、デュークに大きな希望と勇気を与えた。彼はしばらくその光を全身に浴びていると、なぜかとても気持がよくなって来て大きく深呼吸をしてみた。澄んだ空気は自分の体の中をすみずみまで満たしていくようで、とてもうまかった。このアズあのすがすがしい雰囲気を満喫していると、後から誰かが声をかけた。
「おはよう、兄さん。早いのね。」
マリアだった。よほどよく眠ったのだろう、少々腫れぼったい目をして立っていた。
「ああ、おはよう。とても気持のいい朝だぞ。」
「うわ〜〜っ!いいお天気ね。」
「うん、昨日のような天気だったらどうしようかと思っていたんだがとりあえず安心したよ。」
「ところで兄さん、今日はどうするの?」
「うん、何と言ってもひゃあく王宮の位置を確かめたい。まず今日は、このあたりがどこの街だったのかを調べてみようと思う。それに、この辺にも生存者がいるかも知れないからね。」
「グレンダイザーで空から探せば?天気もいい事だし‥‥。」
「いや、この瓦礫の山では生存者のコロニーがあったとしても空からでは見おとしてしまうかも知れない‥‥それに、グレンダイザーはベガ星に奪われたと思われているかも知れん。彼等は外敵に対して敏感になっているはずだから、いたずらにグレンダイザーを飛ばして恐怖心をあおるような事になってはいかん。」
しかし、彼がグレンダイザーを飛ばせたくない理由はそればかりではなかった。それは、洗脳されたナイーダが彼にあびせかけたあの”裏切者”という言葉がまだ彼の心に重くのしかかっていたのだ。そうののしられても仕方のない事はわかっているのだが、彼はまだどこかでそれにこだわっており、生存者達との間に溝ができりうのを恐れていたのだ。
「まず、俺がこのあたりを少し調べて見る。だいたいの位置がわかったら王宮を捜しに行く。それまでおまえはグレンダイザーに残って待っていろ。」
「わかったわ、兄さん。」