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「それはどう言う意味なんだ。君の言っている事はよく理解できないが‥‥」
「知らないのか?二週間程前、グレンダイザーがリーツに現われ、連日のようにリーツを襲ったのではないか。」
「そんなはずはない!二週間前と言えば、グレンダイザーは銀河系の地球という惑星にいたのだ!」
ドクはデュークの言葉に当惑しているようだった。デュークはドクに言った。
「僕がグレンダイザーの操縦者、デューク・フリードだ。」
「しかし、リーツを襲ったのは確かにグレンダイザーだ。」
「詳しく話してくれないか?」
「グレンダイザーは何の前ぶれもなしに、突然リーツに出現した。我々移民も、軍人達もフリード星人の復讐だと思った。グレンダイザーはリーツの各地に同事に現われ‥‥」
その時、デュークがドクの言葉を遮った。
「各地に同事に現われた?それはおかしいな。フリード星が完成したグレンダイザーは一体だけだ。」
「何?」
「まあいい。話を続けてくれ。」
「グレンダイザーは連日のようにリーツを襲い、軍事設備や我々のコロニーを破壊した。甲府におののいた軍人達は戦闘円盤あ円盤母船で次々と宇宙へ逃げた。しかし、ほとんどが逃げ遅れ、或はグレンダイザーに撃墜されてしまった。たまたま、僕は自家用円盤を持っていたので一か八か家族を連れてリーツ脱出を企てたのだ。僕等は幸運だった。グレンダイザーに追撃を受けたものの、大きな破損はなく、リーツ脱出に成功したのだ。」
「‥‥そして宇宙を漂流してこの星へ辿り着いたと言う訳か。」
「そうだ。僕は見た。リーツが宇宙空間に消えて行くのを‥‥」
「何だって?消えた?」
「そうだ…宇宙の闇にとけ込むように消えてしまった…」
その時、今まで黙っていたガイン老人が呟くように言った。
「宇宙の暗黒生物、ベム・モンスじゃ…」
一同はガイン老人に注目した。
「何ですって?」
「詳しい事はわかってはおらんが、いろいろな星の伝説に星を呑み込んでしまう暗黒生物の話がある。フリード星の伝説ではこれを宇宙を渡り歩く黒い猛禽”ベム・モンス”と呼んでおる。」
「星を呑み込んでしまう‥‥ですって?」
デュークはこの化け物の話が信じられなかった。しかし、ガイン老人はかつては光量子力学の権威者である。それだけに老人の言葉には説得力がある。老人の話は続いた。
「伝説によれば、ベム・モンスの質量は途方もなく大きく、惑星一つくらいはたやすく呑み込んでしまうという話じゃ。それに、奴は知能も持っているらしい。全く、未知の生物じゃ。」
その時、ズズーン!という鋭い大きな響きと共に、王宮全体が揺れた。
「何だ!どうしたんだ!」
ペガサスが叫ぶ。その声が終わると同事に、この地下室のドアが開き、マリアとエリーナが駆け込んで来た。
「兄さん!円盤獣よ!今度は円盤獣が現われたわ!」
「何だって!」
一同は部屋を飛び出した。