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グリフォンの左手がグリップを握りしめ、人差し指がトリガーにかかった。スコープ内に落下するフビフビが飛び込んで来た。フビフビが円盤に変型しようとした時、モニターが緑から赤に変わった。グリフォンの人差し指がトリガーを絞った。と、砲口に巨大な光の玉が拡がり、轟音と共にエネルギーの塊のような光弾が発射され、フビフビ向かって真一文字に飛んだ。一瞬のうちに光弾はフビフビの体に命中した。フビフビの全身はギャラクシー・ノバの威力に押し流され、2秒ほど空中を漂った。と、眩ゆいばかりの光芒がフビフビの全身を包み込み、空中に大爆発が起こった。その光は夜空を彩り、地上のゴッド・グリフォンとグレンダイザーにも照り返していた。
ACT.11 闇空に散る勇者
デュークはその突如出現したロボットが目の前で発揮した威力に絶句していた。グレンダイザーがかつてない苦戦を強いられた相手を、わずかの時間の間に全滅させてしまったのだ。その戦いぶりは、まさにパワーで相手をねじ伏せていた。その上、ぎこちないその挙動は奇妙な貫録を印象づけていた。
「ペガサス‥‥そ、そのロボットは‥‥?」
「あ?‥‥ああ‥‥」
ペガサスは放心状態だった。自分でもグリフォンのパワーに驚愕しているのだ。
「‥‥こいつは、グレンダイザーの兄貴みたいなもんさ‥‥グレンダイザー同様、俺の親父とじいさんが設計したんだが‥‥フリード大王から開発中止命令を受けてオクラ入りしていたロボットだ‥‥」そいつをじいさんと俺で動けるようにしておいたんだ‥‥」
「‥‥知らなかった…そんなものがあったとは‥‥」
「と言っても、まだこいつはとりあえずのシロモノだ‥…俺も正直、こんなに凄いとは‥‥」
「…とにかく、救けてもらったようだな‥‥礼を言うよ。」
「よしてくれよ‥‥あんたは俺達の為に充分戦ってくれた‥‥俺はあんたを誤解していたよ‥‥」
その時、地上からオックスが叫んだ。マリアも一緒である。
「ペガサス!凄いじゃないか!フリード星にそんなロボットがあったなんて!ちっとも知らなかったぜ!この野郎!」
「オックス!無事か!?」
「ああ、マリア姫も‥…この通りさ。」
マリアはグレンダイザーの足元へ駆け寄った。
「兄さん!大丈夫なの!?」
「ああ、さっきはもう駄目かと思ったが…ごらんの通り、ペガサスに助けられたよ。」
「‥‥よかった‥‥」
マリアはそう言って涙ぐんだ。と、その時である。あたり一面が異様な雰囲気に包まれた。