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ACT.11

一同はその周囲の異変を敏感に感じとり、漠然と空を見上げた。概に夜明けの時間が迫っていた。東の空がぼんやりと明けようとしている。しかし、その他の空はまだ満天の星がうめつくしている。と、突然その星空が黒インクを流したように北の方から闇に侵されて言った。わずかに明けかかった東の空も黒いカーテンを引いたように闇に閉ざされ、周囲一面は暗黒の世界となった。ペガサスが叫んだ。

「な…なんだ!一体どうしたってんだ!これは!」

王宮前でもこの超常現象は起こっていた。エリーナを初めとする群衆は突然襲った暗黒の闇にどよめいた。そして、地下倉庫のコンソール・ボックスのガイン老人の前のモニターもこの光景を映し出していた。

「‥…とうとう始まったな‥‥腹をすかした狼が餌に飛びついたのじゃ‥‥もうわしらにできる事は何もない‥…」

老人の呟きはヘルメットのヘッドホンを通じてペガサスの耳に入った。

「なんだって!」

「ベム・モンスはわしらの想像以上の抵抗に怒り、一気にフリード星を飲み込むつもりじゃ‥‥」

その時、暗黒の高空で何かが光った。一同はその光を凝視した。それは巨大な二つの光球だった。暗黒の空高く鈍い光を地上へ向けて発している。それはあたかも未知の暗黒生物の双眼のようであった。デュークは覚悟を決めた。

(‥‥もはや‥‥これまでか‥‥)

彼だけではない。想像を絶する伝説のベム・モンスの超常現象をまのあたりにしたフリード星人達、ベガ星人ドクさえもそう思った。もう、なす術はないのだ。しかし一人だけ、ペガサスだけは心の中で叫んでいた。

(‥‥こんな‥‥こんな化け物の為にこのフリード星は宇宙から微塵もなく消えちまうのか?‥‥それじゃ俺達はこの5年間、一体何の為に生きのびて来たと言うんだ?‥‥こんな、こんな理不尽なことがあってたまるか------!)

闇の中、わずかなベム・モンスの光に照らされているゴッド・グリフォンの体が動いた。

(‥‥ペガサス?‥‥?何かをするつもりなのか‥‥?)

デュークが思った。グリフォンは天を仰いでその二つの光を見据えているようだった。と、ダイザーのコックピットにペガサスの声が入って来た。

「‥‥デューク・フリード‥‥もしもフリード星が無事で、あんたも生きのびていたならば‥‥この星、あんたに頼んだぜ‥‥」

その声には何か切迫するものがあった。

「ペガサス!‥‥何をする気なんだ「!?」

デュークが呼びかけたヶ返事はなかった。と、突如轟音と共にグリフォンの足の下でオレンジ色の光が拡がり、グリフォンの全身が宙に浮いた。