パーソナルツール

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ACT.5

彼はゆっくり立ち上がり、一瞬、フッと気をゆるめた。と、次の瞬間、ズビューッ!というレーザーの発射音が背後で鳴った。彼は後ろを振り返った。すると、一人のベガ星兵士がそこで倒れた。彼は人の気配を感じ、反対方向へ向き直った------と、何かが物陰から飛び出した。

「デューク!」

「‥‥ゴカルテン先生!」

それはグレンダイザーを開発したフリード星科学陣の一人であり、デュークの操縦訓練の教官でもあるシザース・ゴカルテン博士だった。

「怪我はないか?」

博士は彼に聞いた。

「はい。」

「一体どうしたと言うのだ?何が起こったのだ?」

「どうやら、ベガ大王が裏切ったらしいのです。」

「何だって!?それじゃ君のあのベガ大王の娘との婚約は…?」

「はい、罠だったのです‥‥」

「そうか‥‥ベガ大王め、何て卑劣な奴なんだ‥‥ところで、こんな所へ何しに来た?」

「…父が…殺されました…」

「何っ!?」

「母も…そして妹も…父は奴等の狙いはグレンダイザーだと言って‥‥僕にグレンダイザーで宇宙へ逃げろと…」

「そうか‥‥そうだったのか‥‥」

その時、ドガーン!とい轟音と共に格納庫が揺れ、天井が吹っ飛んだ。二人は爆風に飛ばされ、床に激突した。どうやらベガ星連合軍は陽子爆弾による攻撃を開始したらしい。彼は、いやという程床に叩きつけた体をゆっくりと起こした。と、激痛が脳天を突き抜ける。見ると、右腕の肩と肘の間に7センチ程の大きさの傷がパックリと口を開けており、そこから鮮血が流れ出ている。

「ウウッ‥‥はっ!ゴカルテン先生!…先生っ!」

彼はあたりを見まわした。ゴカルテン博士は倒れた石柱の下敷きになっていた。

「先生ーっ!」

彼は傷の痛みも忘れ、走り寄った。

「先生っ!」

「デュ…デューク・フリード…に、逃げろ‥‥大王の御意志を‥‥」

「先生!僕はもういやです!僕も戦って…戦えるだけ戦ってここで死にます!」

「何を言っているのだ‥‥大王が亡き人となられた今、‥‥フリード王は君なのだぞ…」

「えっ‥‥!」

彼にとってっこの言葉は衝撃だった。

「ここで死んで…グレンダイザーを渡してしまったら…フリード星は、‥‥宇宙はどうなる?‥‥大王の遺言通りにするのだ‥‥そして、‥‥いつの日か…」

その時、新手のベガ星兵士が数人、格納庫へなだれ込んで来た。

「…さあ、早く‥‥行けっ!」

「先生‥‥!」

彼はグレンダイザーに向って走った。ベガ星兵士が乱射するレーザーを掻い潜り、船体に昇る。コックピットに入り込み、寝ルメットをかぶる。その時、再び激痛が彼を襲った。一瞬、意識が遠のく。右腕の傷は、思ったよりも深いようである。彼は気を取り直し、エンジンを始動させる。アクセルを吹かし、エンジン出力を上昇させる。

------発進!彼は怒りを込めて発進レバーを引き、グレンダイザーを発進させた。そう、ゴカルテン博士に教わった通りに------