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「------どうしたんだ、ペガサス!」
ペガサスはここまで走って来た道をそのまま引き返して行く。ペガサスは王宮を目指して帰って行くのである。
ACT.10 甦る ゴッド・グリフォン
ペガサスは夢中で走った。
(‥‥グレンダイザーが‥‥殺られてしまう‥‥!)
走りながらペガサスの頭の中を駆け巡る言葉はそれだけだった。やがて前方に王宮が見えて来た。王宮の前にはガイン老人、エリーナ、ドクを先頭にフリード星人達が集まっていた。
「ペガサス!どうしたの!?」
ペガサスを発見したエリーナが叫んだ。ペガサスはガイン老人の前で立ち止まり、息を切らせて言った。
「‥…グレンダイザーが‥‥殺られちまう!‥‥じいさん、手を貸してくれっ‥‥!」
ペガサスとガイン老人はしばし見つめ合った。二人の目の輝きには、明らかに意志の疎通が見られる。ガイン老人は言った。
「無駄じゃ…勝算はない。敵は我々の常識を越えた存在なのじゃ‥‥。」
「それじゃ、ただ何もせず奴に星ごと喰われちまうのを黙って待ってろって言うのかい!」
ペガサスの言葉にエリーナが叫んだ。
「何ですって!星ごと‥‥喰われる‥‥?」
初めて知らされた敵の正体に群衆はどよめき始めた。ガイン老人は目をつむって何かを考えている。
「‥‥頼むっ!じいさん!」
ペガサスは必死でガイン老人に何かを頼んでいる。老人は目を開け、言った。
「‥‥奴等は…あの円盤獣どもは正体のない実体じゃ‥‥ベム・モンスは我々の潜在意識を巧みに探り出し、そのイメージを実体化させてくる‥‥。と言って、奴等は幻ではない。あくまでも実体なのじゃ‥‥」
老人の話に群衆は聞き入っていた。
「…そうか…リーツを襲ったブレンダいざ-も、我々ベガ星人の持つグレンダイザーのイメージが実体化したものだったのですね。」
ドクが言った。
「そうじゃ‥‥ベム・モンスは我々の心を持てあそび、あげくの果てには星ごと我々を潰してしまう‥‥。」
「それならなおの事だっ!どうせならやるだけの事はやるっ!」
ペガサスの決意は堅かった。老人は鋭い目でペガサスを睨み、言った。
「人の恐怖心から生まれた敵と戦うのは辛いぞ。」
「覚悟はしている。」
「よし、来い。」
老人とペガサスは何かを決意したようだった。このフリード星とグレンダイザー最大の危機を救う方法が残されているのだろうか?二人は王宮の中へ消えた。