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その姿はフリード星人の若い男とほとんど変りはなかった。しかし、その鋭く尖った耳の形はベガ星人特有の物である。
「まちがいない。ベガ星人だ。」
デュークが小さな声でそう言った次の瞬間、ペガサスが木の陰から飛び出した。
「待てっ!ペガサス!」
しかし遅い。ペガサスは素早くレーザー・ライフルを円盤の男に向けて構え、そして叫んだ。
「おい!貴様、ベガ星人だな!」
男はギョッとして身をすくめ、ペガサスの砲を向いた。
「ま、待ってくれ!撃たないでくれ!僕は君達の敵ではない!」
男は言った。デューク、マリア、オックスの三人も木の陰から出る。
「よせっ!ペガサス!」
デュークはそう言ってペガサスを制し、男に訪ねた。
「君はベガ星人だね?」
「そうだ。だが僕は軍人じゃない。円盤が故障して止むを得ずこの星に不時着したのだ。」
男は答えた。
「どこから来たんだ?」
「ベガ星の植民惑星、リーツだ。」
「その円盤に乗っているのは君一人か?」
「いや、妻と子供が‥‥妻は怪我をしている。不時着の時、足をくじいたらしい。歩けないのだ。」
「よし、手当をしてやろう。その二人を円盤から降ろそう。」
そう言って円盤に近づこうとしたデュークに向かって、後ろからペガサスが言った。
「待てっ!‥‥あんたは行くな!それからおまえ!」
ペガサスは男に向かって言った。
「------おまえは両手を挙げて先に降りて来るんだ!」
「わ、わかった…。」
男は言われた通り両手を挙げ、円盤を降りた。
「オックス!おまえが行けっ!銃は抜いて行けよ!早くしろっ!」
「あ、ああ、わかったよ、」
オックスは円盤に向かって走った。
「用心深いな…」
デュークは苦笑して言った。
「ベガ星人と聞いちゃ、そう簡単に気を許す訳にはいかん。」
男は彼等の前までゆっくりと歩いて来た。男はデュークに問いかけた。
「ここは、どこの星なのだ?」
「ここは、フリード星だ。」
彼は答えた。男は少し驚いたようにして呟いた。
「そ…そうか‥‥仕方がないな…」
やがて、オックスが円盤の中から、ベガ星陣の若い女性を肩に現れた。その後ろを、小さな女の子がついて来る。デュークはその女性に語りかけた。
「大丈夫ですか?」
「ええ…ありがとうございます。」
その女性は、自分の夫とペガサスの様子を見て、不安気な顔をして夫に訊いた。
「あなた…ここは?」
「ここはフリード星だ。」
夫の答えに、彼女は顔を少しこわばらせた。
「さあ、もう陽も沈んでしまった事だし、とにかく後の事は帰ってからだ。ペガサス、もういいだろう。その銃を降ろせよ。」
デュークの言葉にペガサスは銃を降ろした。マリアあ女の子に駆け寄り、優しく微笑んで抱き上げた。
「さあ、お嬢ちゃん、もう大丈夫よ。」
「さあ、行こう。」
デュークはそう言って歩き始めながら、男に問いかけた。
「君の名前を訊いていなかったな。」
「僕はドク・メロス。妻はジザベルで娘はニーナだ。」