パーソナルツール

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ACT.7

「僕だ…オックスだ。」

「あ、入って。」

ドアを開け、オックスは中に入る。小さな部屋だった。昔はフリード王宮の近衛兵の個室だった部屋である。中にはベッドがひとつ置いてあり、そこには頭に繃帯を巻いた老人が体を横たえていた。昨晩、群衆の投石に倒れたあの老人である。そのわきにはエリーナが座っていた。老人はゆっくりと上半身を起こしながらオックスに声をかけた。

「おお、オックス。」

オックスは軽く会釈し、エリーナの横の椅子に腰を降ろした。

「どうですか?具合は。」

「いや、何、大した事はない…ところでオックス、ペガサスの奴はどうした?」

「駄目でした‥…でも、あいつも馬鹿ではありませんから…きっとわかってくれると思います。」

「そうか…駄目じゃったか…あいつは物心もつかぬうちに病気で母親を亡くした…子供の頃から父親だけで育ったあいつにとって、父親は全てだったのじゃ。父の面影から、離れられんのじゃ‥‥」

「かわいそうな…ペガサス…」

エリーナが呟く。

「だが、昨日の王子の目に嘘はなかった。儂は王子を信じたい。」

「僕も信じます。」

「今までみんなのまとめ役だったあいつがあれではな…早く何とかせねば…」

そのとき、部屋の外の通路を、誰かがけたたましく走ってくる音が響いた。

「円盤だ!円盤が来た!」

「ええっ!?」

オックスとエリーナは立ち上がり、ドアを開いた。ドアの前を通り過ぎた男に向って、オックスが訊いた。

「何だ!どうした!」

男は立ち止まり、振り向いた。

「円盤だっ!円盤が来たんだ!それもいつものように一機じゃなく編隊でだ!」

「何だって!」

二人は部屋を出、地上へ向って走った。

 

お灸前には、既に数十人のフリード星人達が集まっていた。オックスとエリーナは群衆をかきわけ、前へ出た。戦闘にはペガサスがいた。

「ペガサス!」

ペガサスは振り返った。

「見ろっ!やっぱり奴等ははって来た!」

見ると、1キロ程度前方の碧蒼に、七機の小型円盤が編隊を組んで浮いている。

「本当に、ベガ星人なのか?」

オックスのその言葉が終わるか終わらないうちに、その円盤群は王宮に向かって加速した。

「こっちへ来るぞ!」

誰が言ったかそのことばに群衆はドッと王宮内のホールへなだれ込んだ。円盤が、キューンと音を立てて接近する。円盤はペガサス達三人の頭上を通過した。と、次の瞬間、グワーン!という轟音と共に、王宮の一角が吹っ飛んだ。円盤の攻撃である。崩れ落ちる壁の破片に、数人のフリード星人が悲鳴を上げて逃げ回る。

「チックショウ‥…ベガ星人め!」

ペガサスが言った。