37
ペガサスは操縦桿を引き、”かたつむり”を上昇させて反転する。と、コンソールのランプが幾つかパパパッと点灯した。
「‥‥よしっ!センサー同調!」
ペガサスは叫び、シートの両脇のレバーを引いた。ゴゴゴゴゴ……!ダイザーと円盤獣達の間の大地が音を立てて激しく震動を始めた。大地を覆っている岩石が序々に盛り上がり、その下から黒い物体がせり出した。それは巨大なロボットの頭部だった。ペガサスは”かたつむり”をそのロボットの頭部へ向けて項かさせた。と、”かたつむり”は急速に回転運動を始めた。回転運動は次第に速度を増して行く。
「‥…う‥…ぐ‥…ぐわーっ!」
ペガサスはコックピットの中で絶叫した。激しい回転運動によって発生した猛烈なGがシートに体をめりこませ、”かたつむり”の中心からコックピットへかかる遠心力で血液が頭に逆流する。
「耐えろっ!ペガサス!」
老人の声がヘッドホンから耳を打つが、今のペガサスには聞こえようもない。”かたつむり”は激しい回転運動と共にロボットの頭部へ真一文字に突進する。”かたつむり”とロボットの間の距離が縮まる。ガシャーン!”かたつむり”はロボットの頭部に合体した。と同時にロボットの目にあたる部分が眩しいばかりに輝いた。そう、この”かたつむり”こそ、この巨大ロボットの頭部に合体し操縦席となるのである。巨大ロボットは始動した。頭部が露出している前方の岩が弾けるように飛んだ。ロボットの手が大地から生えたかのように飛び出したのだ。手は大地をしっかりと握りしめた。ゴゴゴゴゴ……再び地震が起こった。ロボットが地上へ這い出そうとしているのだ。さっきの地震より激しく大地は震動する。ビシッ!ビシビシビシッ!轟音と共に大地が真二つに割れ、盛り上がった。ロボットの背中が大地を挽き裂いているのだ。三体の円盤獣はたじろぐ。デュークもこのスペクタクルを息を呑んで満っている。ロボットの足が大地を踏み、ゆっくりとその巨体が立ち上がる。星明りによって巨大なその姿がわずかだが照らし出された。デュークはそのロボットのマスクを見て驚愕した。
「あ‥‥あのマスクは‥…マ、マジンガー‥…」
そう、そのマスクは地球のマジンガーZ、グレートマジンガーにあまりにも似すぎていたのだ。