13
「俺達を守る為のグレンダイザーを王家の人間が持ちだして消えちまった事だよ!」
「違う!それは僕の父が‥‥!」
「フリード王はあんたを殺したくなかったんだよ。」
「え‥‥?」
ペガサスは妙な事を言った。
「たとえあの時、一時グレンダイザーを宇宙へ持ち出すのが最良だったとしてもだ!何故あんたはすぐに帰って来なかった!?フリード王が死んだ時点で、あんたは俺達を統治すべき存在になったんじゃないのか?多少なりともグレンダイザーは戦えたはずだ!」
デュークは何も言えなかった。地球で一度は全てを忘れ、地球人として暮らして行く事を誓ったのは事実であり、さっきの彼の話にも語られた内容でもあった。ペガサスは更に続けた。
「ここはあんたの星だろ?それを勝手に滅んじまったものと決めちまって、その地球とか言う星で暮らして行こうと思っていたなんて、俺は許せないね!」
ペガサスの言葉が終わるや否や、群衆の中から声が上がった。
「やっぱり裏切者だ!」
「そうだ!許せん!」
その声を引き金に、群衆は再びざわめき出した。彼を罵倒する声が再び宙を飛ぶ。と、その時、ざわめきにまぎれて石つぶてが飛んだ。そして、それはデュークの左目を直撃した。
「------ぐっ!」
彼は左手で顔を押さえ、二、三歩後退してその場に膝をつきうずくまった。押さえた手の下から鮮血が一筋流れる。この事態に、今まで沈黙を守っていた老人が目を開け、ペガサスに向って言った。
「ペガサス!やめさせろ!------うっ!」
しかし次の瞬間、老人も倒れた。石つぶての第二弾が今度は老人を襲ったのだ。
「あっ!じいさん!」
「おじいちゃん!」
少女が老人に駆け寄る。ペガサスは群衆を振り返った。
「バカヤロウ!やめるんだ!」
群衆の中には二、三人崩れた壁のかけらを拾おうとしている者がいたが、ペガサスの一声にその動作を止めた。
「ペガサス!」
オックスが叫んだ。
「オックス!早くじさんを部屋へ運ぶんだ!デューク・フリードとマリアは牢へ閉じ込めておけ!おい、誰かマリアを上から降ろして来い!」
「ペガサス、おまえ‥‥!」
「うるせえっ!言われた通りにしろっ!」
デュークはその時既に気を失っていた。
マリアは自分の背中の冷たい感触に目を覚ました。
(‥‥ここは?)
そこは鉄格子のある小さな部屋だった。部屋には何の装飾もなく、光といえば鉄格子の向こうの通路らしきものの壁に掛っている灯だけで暗く、自分は冷たい石の床の上に横たわっているのだった。上半身を起こし、部屋の中を見渡す。------と、左手に兄を発見した。兄は気を失っているようであり、頭から左目にかけて繃帯を巻いている。
「はっ!兄さん!------しっかりして!」
マリアはデュークの両肩に手をかけ、体を軽く揺すった。
「ウ‥‥ウム‥‥」
彼は意識を取り戻し、目を開けた。
「‥‥マリア…」
「兄さん!一体どうしたの?ここはどこなの?」
「‥‥あっ…」
彼はこれまでの事を全て思い出し、上半身を起こした。
「ウッ……!」
左目の脇が痛む。頭も少し、重い。
「兄さん、その怪我はどうしたの?」
「マリア‥‥ここはフリード王宮の中だ‥‥」
「えっ!…あ…私は…私は誰かが船体を叩いたような気がして…それから…そうだわ!いきなり誰かに‥‥!」
「そうか‥‥それはフリード星人だよ‥‥」
「何ですって!?じゃあ、その怪我も…!?一体どうして!?」