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自分がナイーダを愛している事に気づいてしまった今、もう卒業してしまってからでは何となく後ろめたくて会えなくなってしまうと思ったからである。今さら、ナイーダに愛の告白などするつもりはなかった。ただ、一目会って話がしたかっただけなのである。その日、フリード星は休日だった。彼は午前中、シミュレーションによるグレンダイザーの特別操縦訓練を終え、防護服のままナイーダと待ち合わせた場所へ出かけた。休日の街の人々の穏やかな表情とはうらはらに、彼の心は曇っていた。
(…話がしたくて呼び出したけど、一体何を話し始めたらいいのだろう…。)
そんな事を考えながら歩いていると、前方から誰かが彼を呼んだ。
「デューク・フリード!」
ナイーダである。彼が立っている場所から30メートル程離れた路地の入り口、待ち合わせた場所から彼に向って手を振っている。その姿を眩しそうに見つけ、手を振り返そうと思ったその解きである。ドッガーン!耳を劈くような爆発音があたりに響いた。それはフリード王宮のある方角から聞こえたようだった。彼は後ろを振り返った。それはフリード王宮のある方角から聞こえたようだった。彼は後ろを振り返った。しかし、この場所からでは王宮を確認する事はできない。
「デューク!今の音は何?」
ナイーダが叫ぶ。
「わからない!‥‥でも、僕の家の方みたいだ!」
二人は立ちすくんでいた。ズバーン!二回目の爆音が轟いた。今度はもっと近くである。
「ナイーダ!何が起こったのかわからないけどとにかく危険だ!僕は家へ戻る!君も家へ帰ったほうがいい!‥‥話は今度にしよう!」
「わかったわ!あなたも気をつけてね!」
「ありがとうー!」
二人は別れた。彼がある建物の角を曲った時である。その上空に一機の小型円盤が浮いていた。それは明らかにベガ星の戦闘円盤だった。彼は反射的にもう一方の建物の陰に飛び込んだ。
「…なぜだ‥‥なぜベガ星がフリード星を‥‥?」
彼はそ呟きながら建物の反対側へ出た。そこからなら王宮が確認できるはずである。そして彼は異様な光景を発見した。王宮がベガ星軍の艦隊に攻撃を受けているのである。彼は王宮を目指して走り出した。
「父さん!母さん!…なぜ?なぜだベガ大王!」
いつの間にか多数の円盤空母と小型戦闘円盤が街を覆い尽くし、凶悪な円盤獣に逃げ惑うフリード星人が次々と殺されて行く。今やフリード星は完全に戦火に没しようとしていた。宇宙の平和の為にナイーダへの愛を断ち切った彼にとって、いや、友好関係を結んでいたフリード星人全てにとって理不尽極まる光景だった。王宮の周囲は惨憺たるものだった。王宮を目指すデュークに小型円盤がレーザー砲で小刻みに攻撃をかけて来る。彼はそれを巧みに潜り抜け、王宮に転がり込んだ。そして、身を立て直したその時、大きな爆発音が王室の方から起こった。
「はっ!父さん!母さん!マリアッ!」
彼は一気に階段を駆け昇り、燃える王室へ飛び込んだ。