08
それから二人は軽く食事を取り、約30分後、デュークは出発の準備をした。
「マリア、これを持っていろ。」
彼はマリアに小さなブレスレットを渡した。
「なあに、これ?」
「通信機だよ。地磁気の異常で直接の交信は不可能だが、グレンダイザーで電波を増幅すれば何とか交信できるだろう。しかし、非常の時以外は使っちゃならないぞ。」
「ええ。」
「それから、俺が帰って来るまで外に出ちゃならないぞ。」
「えっ?どうして!そんなのつまんないわ!」
「いいから、いいから。二、三時間のしんぼうだよ。おとなしくしてろ。」
デュークはそう軽くマリアをあしらって出かけて行った。マリアは少々不機嫌になったがしかたなく、グレンダイザーの中でおとなしくしている事にした。
(あ〜あ、つまんないなァ!)
そう思いながらコックピットに座り、ぼんやりと空をながめていた。
------デュークが出発してから一時間も経った頃だろうか------コン、コンという音がどこからともなく聞こえてきた。
(何の音かしら)
マリアはそう思って上体をシートから起こした。その音は誰かが何かでブレンダいざ-の船体をたたいているように鈍く響いて来る。
(誰だろう?兄さんなら直接入って来るはずだし‥‥もしかしたらフリード星の生存者‥‥いや、それとも‥‥)
そんな事を考えながらその音を聞いていると、マリアはだんだん落ち着かなくなって来た。恐れと好奇心とが入り交じった、何とも形容しがたい気持である。とうとうたまらなくなってシートの横の光線銃を手に取り、コックピットのフードを開けた。おそるおそる外をうかがったが、外には何の変化もない。マリアは思いきって外へ出て見る事にした。デュークが出がけに言った事など、すっかり忘れてしまっていた。コックピットを出、スペイザーの船体に降り立つ。すると突然、誰かに後から強く引っ張られたような気がしたと思うや、脳天を貫くような刺激が嗅覚を襲い、次の瞬間意識が切れたように遠のくのを感じた。
デュークは出発してから二時間程付近を綿密に調査し、このあたりが学問の街、ロゴルの跡だという事をつきとめた。彼が若い頃通った学校や図書館等の跡を発見した。ここからなら、フリード王宮は近い。