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船体にいたベガ星兵士達は振り落とされ、格納庫の床や壁に激突した。おそらく、即死だろう。王宮の東側の一角が口を開け、グレンダイザーは地上へ飛び出した。彼はグレンダイザーを加速させた。このまま大気圏を離脱するのだ。高度が上がる。グレンダイザーの慣性中和寄稿の臨界点を超えるGが彼の体をシートにめり込ませる。突然、眠気が彼を襲う。彼は遠のく意識の中で後方モニターを見た。そこには、大型陽子爆弾が格納庫のあたりを直撃する様が映し出されていた。光で、モニターテレビは真白に輝き、何も見えなくなった。それが、おそらく、シザース・ゴカルテン博士の最期だっただろう。
彼の人生を一変させた、あの忌まわしい一日の回想は終わった。
「そう…そうだったの…」
マリアがポツリと言った。
「彼の父はグレンダイザーの格納庫で死体となて発見されました。…それで彼は‥‥」
「しかし、…あの時の僕には…あれ以外、どうする事も…」
「だけど兄さん、兄さんがあの時そうしていたからこそ、グレンダイザーはベガ大王の手に渡らなかったし、ベガ大王を倒す事だってできたんじゃない!?」
言葉に詰まる兄を見兼ねてか、マリアは必死に弁明する。
「しかし、それは‥‥ここに残された人達にとっては‥‥」
「兄さん‥‥で、でもわかってもらえるはずだわ!今は、フリード星人同志でいがみ合っている場合じゃないって事を‥‥」
「あの…その事なんですが‥‥」
エリーナが口をはさんだ。
「本当に、ベガ星連合軍は全滅したのですか?」
「え?どういう事ですか?」
「ベガ星人かづうかはわかりませんが------ 実は、最近になって謎の円盤が頻繁に現われるようになったんです‥‥それで、みんな気が張っていて‥‥」
「何ですって!?」
彼は昨日、フリード星を目の前にして出会った円盤を思い出した。
「ま、まさか!兄さん!」
マリアも同じ事を考えているようだった。
「し、しかし確かに僕等はベガ生連合軍を叩き潰し、ベガ大王を倒した!そんなはずは‥‥」
その時、牢の外から声がした。
「エリーナ!」
ペガサスだった。三人はの声に振り返った。
「何をしている。」
ペガサスは冷たく言った。
「お、王子の手当を‥‥」
「終わったらすぐ出ろっ!鍵は俺が預かる!」
「ペガサス…」
「早くしろっ!」
「それじゃあ、お大事に‥‥」
エリーナはそう言って腰をあげた。
「本当に、ありがとう。」
「いいえ。」
エリーナは牢を出、ペガサスと共に去って行った。
ACT.6 ペガサスとオックス
次の朝、雨はあがり太陽が顔を出した。雨上りの大地に朝日の光が反射してきらきらと輝く。ペガサスは王宮前の瓦礫に腰を降ろし、朝日を見つめていた。オックスが王宮の中からゆっくりとペガサスに近づいて来る。オックスはペガサスの後ろで立ち止まり、声をかけた。
「ペガサス。」
「何か用か。」