F-36話:死の影せまるG1号
ハイパーシュートで細胞破壊が進行する健を残して、北極の宇宙観測所に向かう南部と忍者隊だが、ギャラクターにかぎつけられて戦闘。結局健のハイパーシュート頼りで敵を倒す。
チェックポイント
- ISOの特殊潜水艇で、北極圏の秘密宇宙観測所に向かう南部。
- Gスーツとの同調訓練で残る健、南部は4人が護衛。
- 浮上したところを攻撃される。
G1号が救助に現れ、レーザーで魚雷を破壊。 - 再び潜行。
- 観測所は既にアイアンコマンドが陥落。
- 観測所上部の氷を破壊して足止め。ハイパーシュートで鉄獣を撃破。
今回の南部長官
- 南部「艦長、緊急態勢をE地点まで解除したまえ。E地点で観測所と最終確認をとるまで通信を禁止する。万が一にもギャラクターの傍受を避けるためだ」
- ジョー「長官、お願いです。隠さないで言ってください。俺一人で訊くつもりでいたんだけど、四人一緒の方がやはりいいと思ったんでね」
南部「ジョー」
ジョー「健のことです。俺達はいつも一緒になって生死の境目をくぐり抜けてきました。今、健に起こっていることは、俺達4人でカバーしなくちゃならないと思ってるんです」
南部「知っていたのか、ジョー」 - 南部「ジョーの言う通りかもしれん。無用の隠し立てだったかもしれん。私の心配以上に君たちの心のつながりの強さを信じなければならんな。ハイパーシュートによって健の細胞は破壊し始めていたのだ」
- 南部「Gスーツには万全を期したつもりでいた。健の肉体との同調許容点を超えぬよう、機能訓練は充分といえるほど充分に重ねた。しかし、予期せぬ影響は……」
- 南部「細胞破壊はごくわずかに進んでいたに過ぎないが、それによってハイパーシュートに支障を来したことは、諸君が知っての通りだ。この状態で再びハイパーシュートを重ねてゆけば、たとえ成功したとしても、それによって起こる健の細胞破壊は免れないのだ」
- 南部「何とも言えぬ。健の機能訓練とGスーツの改良によって、防ぎうるかもしれんが、決定的な解決策はまだ掴めん」
- 竜「じゃあ、今の健を細胞破壊から守るには」
南部「極力ハイパーシュートを使わせないことだ」
ジョー「敵を前にして、健にそんな我慢ができるわけがねぇ」
南部「あとは、極力戦線に出さぬことだ。最重要作戦を除いて」
ジュン「じゃあ、今回の任務は健には……」
南部「知らせてはいない」
竜「健はそのことを、自分の体のことを」
南部「うん、知っている。だが、健はこの事実を、努めて明るく包み込んでしまった。諸君に無用の心配をかけまいと、自分の心の内にしまっておきたかったのだろう」
さすがに、ジョーが南部長官を問い詰める。 ジョー「長官、なぜ俺に、なぜ俺にさせなかった。ハイパーシュートのGスーツをなぜ俺に。俺はサイボーグだ。一度死んだ体だ。健は、健の生身の肉体になぜ、なぜだ」 南部「健が望んだからだ」 この後、ハイパーシュート開発の回想に入る。 |
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南部「それ以来、密かに健の訓練とGスーツの改良が進められた。後は、君たちの知っての通りだ。責任は、ただこの私一人にある」 ジュン「長官……」 南部「私としては、健の苦しむ姿を見たく無い。私にできるのは、極力健を戦場から遠ざけ、その回復の糸口を掴む以外にはないのだ。」 責任感じてる割には、ジョーに胸ぐらつかまれた後のネクタイを直すことに、やけに熱心な南部長官。DVDを見ているとだいぶ長い間ネクタイをいじってます。相当気になったんでしょうか。 |
ハイパーシュート開発はこんな感じ。
実験動物は鳥。 ハイパーシュート対応のバードスーツを身につけています……ってまさかと思うけど、バードスーツってネーミング、元々鳥用だったからそう呼ばれているのか? 勢いよく飛ぶ鳥さん、全身が光って鋼鉄の板に突っ込み、見事にぶち抜く。 |
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しかしその直後に全身炎上。焼き鳥のできあがり。 | |
職員A「長官」 南部「成功とは言えぬ。生命を守り切れねば、無用のスーツでしかない」 職員A「しかし、動物実験ではこれが限度です。強靱な筋力を持ち、瞬間的な判断でパワーを加減できる人間なら」 職員B「私もそう思います。もし、科学忍者隊で使用するのならば、G2号」 健「長官、俺がやってみます」 南部「健。ここは立ち入り禁止だぞ」 健「すいません。でも、この興味ある実験のことは、うすうす知っていました」 南部「健、まだこのGスーツは完成したわけではないんだ」 健「だったら、俺の体で実験してみてください。ギャラクターに対抗しうる最強力のパワーを」 南部「健」 健「ジョーは既に肉体のほとんどを、戦闘サイボーグとして改造し、俺達を支えてきました。あいつにこれ以上重荷を背負わすわけにはいきません。俺が」 南部「いかん!」 健「長官!」 南部「健」 実験室に注目。ガラス越しの向う側に見えるのが、鳥がぶちぬいた鋼鉄の板。ところで、実験動物の鳥が手前側に飛んできてたら、南部君は見事に殉職だったわけですが……(汗)。鳥も気の毒だけど、この部屋だと、研究者の皆さんも安全とは言い難いんじゃないかなぁ。 むしろ、南部君の開発が失敗していたから助かったのであって、完璧に成功していたら、ハイパーシュートのまま実験動物の鳥が部屋の中を元気良く飛び回った結果、大惨事になってたような気が。 職員が「長官」と呼びかけているところをみると、ハイパーシュートの開発は、南部博士が長官に就任した後から始まったということらしい。 まあ、鳥だと限界だから次は人でと言い出すISO職員、そんなら俺がと言い出す健、何だかんだ言いつつ結局健で実験した南部長官、ある意味良い勝負な気が。 |
- 南部「何故だ。E地点に入らぬうちに、秘密観測所からの確認通信がなぜ」
艦長「先刻、未確認の緊急救助信号をキャッチしています。おそらく、本艦の無事を確認したかったのでしょう。応答しますか」
船員「艦長、本艦の応答あるまで呼び続けるつもりらしいです」
南部「うーむ。やむを得ん。呼び出しが長引いては万一敵に傍受されるおそれもある。応答したまえ」 - ジョー「長官、緊急のため、俺達が偵察に行ってきます。長官はこの船に居てください」
南部「いや、例え万一ギャラクターに傍受されようと、一刻も早く秘密観測所にたどり着かねばならんのだ」
ジョー「長官……」
南部「どんな危険が待ち受けようと、宇宙パルスのデータは、この手で解かねばならんのだ。それだけ事は緊急を要する。諸君は艦を離れず、目的地まで護衛を頼む」 - 了解した、ガッチャマン。
感想・考証・議論
ISOの特殊潜水艇内部。南部長官の部屋がかなり広い。潜水艇のようなもので、この広さをとれるあたりが、ISOの技術力をうまく表している。もちろん、後で出てくるブリッジも広々としている。 |
今回は、味方のドジで南部長官が足を引っ張られたという回。
まず、秘密基地側。せっかく健を残してこっそり出てきたのに、職員が、今回の作戦は全て暗号通信のみだという約束も忘れて鴨技師長に連絡するもんだから、南部長官の居場所が健にばれてしまった。
秘密観測所との通信も、途中で通信はしない、と約束くらいはしているはずだろうに、「応答あるまで呼び続ける」というわけわからんアホのせいで潜水艇側から応答するはめになり、見事にギャラクターに感づかれた。さっき別の艦が沈められたからという理由で、安否の確認のために呼び続けるって、ホント何の意味もない。もし、目当ての特殊潜水艇が無事だった場合は、ギャラクターに感づかれるチャンスを増やすだけで、熱心に安否確認などしたら、余程の重大任務あるいは重要人物が乗っているのだろう、とさらに関心を持たれるだけ。もし、目当ての特殊潜水艇が既に無事でなかったら、どの道応答はできないわけだから、呼ぶだけ無駄。この判断もできなくなっているとは、ギャラクターとの闘いで消耗して、ISO側の人材も劣化したのだろうか。
「どんな危険が待ち受けようと、宇宙パルスのデータは、この手で解かねばならんのだ。それだけ事は緊急を要する。」と言い張る南部長官、代わりになる人材が居ないというところまで追い込まれちゃったんですかね。宇宙パルスの研究では無名のシュバール氏にかなり出し抜かれていたことははっきりしているし、それなら、そっちに強い人を引っ張ってきた方が手っ取り早いはずなんだが……。
そういえば、12話の会議場の席で、
南部「ギャラクターの対策は、我々と国連軍におまかせいただきたい。そこでみなさんには、得体の知れぬ総裁Zの正体を、科学の上から解明してほしいのです」
と言ってたな。
忍者隊が護衛についている南部長官は今まで無事だったが、そうではなかった一般の科学者達は、南部に言われて熱心に総裁Zの正体探しを始めたために、片っ端から襲撃されて、今や南部長官の代わりに宇宙パルスの謎を解明できる人材はみんな死んでるか入院中とか、そんな感じでしょうか。天文台とか観測所とか、潰されまくってたし。