スタッフインタビュー
インタビュー記事のうち文芸資料となるものをまとめた。
九里一平
- 当初から忍者物の企画としてスタートした。
- 近代的な装備をした生身の特殊部隊である。
- SFを盛り込んだのは後付け。
- ガッチャマンの由来は、読売広告社の常務の松山さんの案(以上、コロムビアvol.1ライナーノーツ)
鳥海尽三
- キャラクターの生い立ちなどは陶山氏による。ベルクカッツェのネーミング、鉄獣という呼び名も陶山氏。
- レッドインパルスはブルーインパルスからとった。
- ゴジラを意識して作った。
- 僕は、巨大なロボットが簡単に動いたり、自由自在にアクションが出来るものか、と思ってます。しかも、第1話で子供が巨大なロボットを簡単に操縦するなんて、そんな馬鹿なことはありませんよ。もしやるならば、ストーリーの中で段々と解っていくようにやらなければならないわけです。
- よく考えると、南部博士だってとんでもない男だよね。子供達を集めて、宇宙から来たとんでもない野郎と戦わせる訳だから。だから、『ガッチャマンF』の途中で殺してやったんです。
------ばちがあたったんですね。
そうです。(以上、コロムビアvol.3ライナーノーツ)
陶山 智
- ------第一話から”科学忍者隊”が結成されていますが、人々が集まっていく話はなかったんですか?
最初の段階ではそうだったんです。ただ、それをやるとまどろっこしいんで省いちゃったんです。そういうことを反対するのは酒井(あきよし)さんでした。彼が「そんなことはいらないんじゃないの。邪魔なんじゃないの?」って。
ただ、大鳥さんも「いつでも描けるから」といのうのが頭にあった。 - 九里さんのカッツェは素晴らしい出来だと思うよ。最初から、俳優の三輪明宏(当時は丸山明宏)とかのイメージがあったんです。
- (当初は総裁Xの正体はコンピューターの予定だったが……)だから、Xの正体は”何かわけが解らない物体”というのが魅力でしょう。
非常に幾何学的な形は『2001年……』のモノリスに通じるものがあります。(以上、コロムビアvol.5ライナーノーツ) - ------永行さんが仰ったのは、シリーズが始まった時に、レッドインパルスが死ぬて予定は全然なくて。永行さんはレッドインパルスみたいな親父が覆面の姿で出てくるのが嫌で……。機会があれば殺してやろうと思ってた、みたいなことを言ってて(笑)。
うんうん、わかる(笑)。
------それで、ちょうど1年経った時に、自分の回で殺しちゃって、殺しちゃったよ、って事後報告をしたって話をされてたんですよ。
うんうん、私はもう、間に立ってね、辟易したんだけど、私も聞かされた。もう、ボロクソだよ。(「タツノコプロインサイダーズ」)
小隅 黎
- 総裁Xは最初から宇宙人という設定だった。狂戦士(バーサーカー)にするかどうかで議論した。
- バンアレン帯の降下のエピソードはタツノコ側のアイデア。
- 火の鳥の説明をやった(ファンタスティクコレクションNo.3)。(以上、コロムビアvol.7ライナーノーツ)
中村光毅
- 当時はそれ程厳密じゃなかったんです。美術設定も大まかな設定はありましたが、各話の演出によって微妙に指示が違うとか、そういったことを前後の話数と比較して細かくチェックしたり、気にする人がスタッフにいなかったんです。というか、時間がなかったんです。だから、誰がどこに座るとか、建物の内装とか、そういった部分はシステムの確立とともに徐々に細分化して行ったんです。(コロムビアvol.15ライナーノーツ)
大河原邦男
- 文芸部の鳥海尽三さんが「東映さんのような戦闘ロボットは絶対出さない」と言ってたんです。結局、スポンサーと文芸部側の折衷案として「基地ロボットだったら許せる」ということに落ち着いたんですが……。(コロムビアvol.17ライナーノーツ)
鳥海永行
- おそらく近未来っていう設定でしょう。当時は大型コンピュータと言っても、メモリー(記憶装置)は磁気テープですからね。SF考証の小隅黎さんに「総裁Xがコンピュータだったら、丸ビル2個分くらいの大きさのコンピュータが必要だ」と言われましてね。それで総裁Xは延々と大きくしたんです。当時は、今のようなデジタル化された時代なんて思いもつかなかったわけですから。発想そのものはものすごくアナログなんですよ。
- (レッドインパルスについて)これは竜夫さんの趣味だと思います。実は父親であって顔を隠しているとか、実はお兄さんであって顔を隠しているとか。『マッハGO』で言えば、覆面レーサーみたいなのが好きなんです。だけど、僕はそれがシチュエーション的に大嫌いなんです。レッドインパルスの隊長はデザイン的にも恰好良いけど、『決断』のイメージも強いわけです。それと、声優さんの声が気になったんです。良い時はものすごく良いのに、悪い時は徹底的に悪いんですよ。それで、シリーズが長く続くなら早く殺しちゃた方が良いと僕が勝手にやりました。その回は達夫さんが初号を見に来たんです。不満だったんでしょうね。後に判明する男女両性を併せ持つカッツェのシチュエーションとか、物語後半にジョーを主役においたのも,僕の一存です。
- 最初の1年めで尽三さんや陶山さん達が作られた文芸部の路線が、2年目からは完全に外れてしまって、僕の一存みたいなところに来ちゃったんです。だから、文芸部のやったパターン通りの怪獣メカが出て来る話と、僕が担当する謎解きの流れが入り組んで来るわけです。
- ------物語の謎解きの方向は、監督しか知らないんですか?
そうです。文芸の陶山さんも、各話のライターさんも判らないんえす。それで、2〜3歩先の話を、陶山さんに小出しに伝えていく。それで陶山さんがその方向でシナリオを集めてくるわけで、全てをバラさないんです。 - ジョーを殺す気は無かったが、『次郎長三国志』のラストが印象的だったのでパクったらああなった。(←RHによるまとめ)
- (ラストの総裁Xについて)当初はあそこまで見せる気はなかったんです。総裁Xという存在はおいとくけども、実はカッツェそのものだったということだったんです。そもそも、初めて企画に参加した時のアイデアでは、子分達を納得させるために、カッツェの上には偉いやつがいるんだって嘘をつかせておこうということだったんです。それが、段々と引っ込みつかなくなっちゃって、どういう幕引きが一番良いのかなと考えに考え、それで、手にしている鉛筆を見た時に『2001年宇宙の旅』これもまた戴いちゃえと、総裁Xの正体をあの形にした。(以上、コロムビアvol.21ライナーノーツ)
- ------じゃあ、ギャラクターの女隊長とベルク・カッツェが同一人物ということは、伏線として用意されていたわけではなかったんですか?
いや、なんだっけ、「南部博士暗殺計画」?あの話から意識したんですよ。で、なんかないかと考えて、まず女でもってスゲぇのを出そう、と。当時の台本にはたぶん、謎の女に括弧してベルク・カッツェって書いてあったと思うんですけど、斯波さんに、「役者が意識してしまうから、これは書かないほうがいい」と言われて。 - ------ジョーの両親がギャラクターという設定も鳥海さんが?
そうですね、あの頃になるともう相談もせずに、やってしまったからこうなたって感じで(笑)。レッドインパルスも、「殺しちゃった」って言ったら、みんな大騒ぎをして、社長が、なに〜って感じで編集室に来て、「見せろ」って(笑)。 - ------竜夫さんは、レッドインパルスって、クライマックスまで生きてると考えられてた?
でしょうね、覆面レーサーと同じような感じで。それは多分に、竜夫さんの趣味だったと思うんですよ。でも、叱られはしなかったんですよ。「実は、生きていたって話、できるんじゃないの?」って言われたから「考えときます」って(笑)。(以上「タツノコプロインサイダーズ」) - 最初は、未来の話にしようかと云ってましたけど、いくらSFでも、あまり未来にかけ離れてしまうとリアル感がないから、という事で、だいたい二〇〇一年、ホラ、映画あったでしょ、ちょうどあのくらいを基準にしようと……。だから、例えば、今から十年後だとか、五十年後だとか、そんな感じでね。
- そう、例えば、僕らが十年前の東京をみても、たいして変わっていない。だから十年後も今と対して変わっていない、そういう事でいいんじゃないかって……。
- 総裁Xってのは、元々、何のヒントだったか忘れましたけど、カッツェが一番の隊長で、部下を使うために、もう一人別の、自分の親玉を造りあげている、実は、その総裁Xってのはいないんだっていう……。カッツェそのものがXで、人を操るために架空の人物を造り上げたと云うのが、はじめの設定でね。でもアニメの場合には、そういうのは表現しにくいから、じゃあ、最初は映像だけで、何か出来る事をやろうと、そういう所から始まったんです。あとは、だんだんこじつけになってきたわけですよ。総裁Xをはじめからエンピツみたいなもんだなんて決めてた訳じゃない。あれは、たまたま絵コンテ描いてる時、エンピツを見ると、ああこんなもんでいいわと云うか、これをこうやったらいいんじゃないかな、というだけなんですよネ。だから、映像へどんどん拡がっていって、理屈から入ったもんじゃないから、あれは何でもかまわないって事云ってる訳ですヨ。とらえ方によって、何でもかまわない。唯、形としてはああいうエンピツみたいな物、それがコンピューターであってもかまわないんです。南部博士にも言わせてますヨネ。「我々には分からないんだ。」ってね。
- ええ、あとから話がだんだんエスカレートして、どんどん拡がっていっちゃうんで、これはとても三年まで話が出来ないというんでね。初めは、二クール計算でいましたから、その当時は、リアル物というと、当たりっこないって頭がありましたんで、一年で一応ピリオドを打つ形で、バンアレン帯という大きな事件と、健と親父の別れというのをもってきて、終わりにするつもりだったんです。だから、ラストの絵なんか、地球と太陽とゴッド・フェニックスという一つの終わり方で撮ってしまった訳です。
- もともと、出発が、ギャラクターという悪の組織があって、そこにはカッツェがいて、こっちには科学忍者隊がいて、そして、南部がいて健がいて、彼らが戦うという単純な公式でしょ。その説明は一切いらないという事ね。僕が一番最初に企画書読ましてもらった時は、健が仲間を集めていくところからの話があったんですけれども、それでは、アクション・アニメとしては説明過多になってしまう。だから、こういうもんが最初からあるもんだという所から出発したわけです。で、それが、非常に話が長くなって、一人一人にスポットを当てたから、回想方式でもって、過去が浮かび上がってきたと。だから必要以外のことは決めてない訳ですよ。(以上、ファンタスティックコレクションNo.2)
杉井興治
- 『ガッチャマン』もそうだけど、キャラクターシートってないんです。メイン作監の修正原画を切り貼りして、キャラクターの参考資料にしていくんですよ。だから次々と増えていくんだけど、等身大のガッチャマンがいて、他のキャラクターがいて、キャラクター設計図があるかっていうと、ないはずなんです。吉田竜夫も自分の描いた原案があるだけで、そこから先はほとんどタッチしてない。だから決定稿の設定の中に準備稿しか描かれなかったキャラクターが混じってるんだよね。Tシャツの番号が違ってるとか、ナマズヒゲのはね具合がシートによって統一されてないとか。多分天野ちゃんもやってないはずでしょ。ただし、雑誌に載せるのはどうしたらいいかとかね、ほかの部分になると手が入ったのかもしれないけど。だから宮本さんがキャラクターデザインじゃないんだけど、宮本さんが統一された『ガッチャマン』を作っているわけですよ。宮本さんが作監したやつを、ほとんどの外注さんに回して、それがキャラになっちゃってるわけですからね。(「タツノコプロインサイダーズ」)
宮本貞夫
- ------宮本さんが吉田竜夫さんの絵を元に、キャラクターシートを描き直したということですか?
それをやった記憶、ありますよ。(「タツノコプロインサイダーズ」)